目隠れアサシンの秘密｡

秘密その20 ページ21

三村side

倉橋に呼ばれ、急ぎ足で本棚に駆け寄る。倉橋は手に冊子を持っていた。「見て！」と言いながら、ずいっと俺に押し付ける。

本のタイトルは、『目指せ！歌うま人間〜男性向け〜』。

「大発見じゃない！？」
倉橋は全身で興奮を表している。感情が声に乗っかっていて、耳がﾜｰﾝとなった。どんだけでかい声だよ。
「んー。でもアイツ元軽音楽部だし、ボーカルやってたなら証拠には…」
「じゃあ、私その証拠探す！ニ○ニコにあがってるよね！」
そして倉橋はリビングへ戻っていった。くそ、さりげなく危ない方を避けてるし。
改めて本棚に目を通す。なんか難しそうな数学の本が並んでいる。そういや千葉は空間図形がめちゃくちゃ得意だって殺せんせーから聞いた。後は、建築関係の本、音楽関係の物や小学校の卒業アルバムがたくさんある。本を読むというより、本を『見る』要素が強いものばかりだ。
机の引き出しに戻る。そっと開けると、いわゆるレターセットが真っ先に目についた。
(こんな女子っぽいの…)
末の妹から貰ったんだろう。包装ビニールに『おめでとう』って書いてあるし。
それと、大量の筆記用具。センスがバラバラだから、誕生日プレゼントとかで貰ったんだろうな、と思った。そういえば祝えてないな、と思う。5月生まれだもんな、来年は祝ってやろ。
大きな引き出しの中には、CDプレイヤーとたくさんのCDがあった。ハードコアパンクものが多いけど、ボカロも少しあるみたいだ。
「三村ー、そろそろ降りてこい？半分くらい戻ってきたぞ」
下から岡島の声がする。おーう、と大声で返事をして、引き出しを元通りに戻し、急いでリビングに戻った。


「…って感じだな。特にヒントは無かったよ」
「そっか、ありがとな！」
千葉の部屋の件を報告する。杉野が礼を言って、「手掛かり無しかぁ」と呟いた。
「千葉ちゃんサムネにいないよ〜」
倉橋が音をあげる。
「え？」
まさか、と思いニ○ニコで検索する。あの前髪なら…と思うが、見当たらない。配信年を去年と条件付けても、見つけることはできなかった。

それから1時間ほどで全員が見つかり、千葉の家に集まった。
「楽しかった！」
「ねー！！」
「疲れたぁ…」
「隠れるの上手すぎ〜！」
「オマエ早すぎだろww」
「うっせ」
「そろそろ帰るか、暗くなる前に」
磯貝がそう言うので、全員で帰る。
「じゃあな」
千葉は、手を振ってから家に戻っていった。








この直後、俺達は『銃者』の正体を知る。

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