第4章 - 11話 ページ11
すぐに彼が駆け出す音が聞こえた。
私は彼に背を向けたまま、行く手を邪魔されぬよう攻撃態勢に入る。
目の前の大柄の男は立ち止まり、愉快そうに口を開いた。
「愛って、いいわねぇ。
…壊し甲斐がある。」
私は拳銃を取り出し、引き金を引く。
男の腿に当たった。
若干たじろいだその間に手元の銃目指して発砲。
男の銃は用水路に落ちた。
「あらぁ、新品の銃なのに。
まあいいわ。銃って得意じゃないから。」
男のお喋りを無視して二回発砲する。
一発外し、もう一発は足首あたりに当たった。
「あなたの銃の才能、羨ましいわ。」
男は構わずゆっくり近づいてきた。
と、思ったら私は足首に撃たれたような痛みを感じた。
「は、」
「うふふ、困惑するわよね。
ほら、いいのよ。もっと撃ちなさい？」
引き金を引くと相手の頬を掠った。
何も起こらない。
銃を再び構え、二発目を打ち込もうと引き金に手を置くと、頬から流れる熱に気がついた。
(ああ、コイツ…)
「念能力者か。」
「あら、念、知ってるのね。」
「…」
(何か、打つ手は…)
「考え事とは、余裕ね。」
「ぐっ…！」
背中を殴られる。
(今、瞬間移動を…！？厄介だな。)
殴られたときと背後に移動したと気がついた時は同時だった。
吹き飛ばされた体を立て直そうとするが、よろめく。胸の圧迫感に息が乱れる。
ほぼ絶の体に念能力者の拳はダメージが大きすぎた。背骨が折れたような痛みを感じる。
「ハイ、こちらスペード。」
男がトランシーバーを通して誰かと話している。
その隙に一気に間合いを詰めて頭に蹴りを入れる。
が、消えた。
(まただ。)
男は後ろに立っていた。
今度は再び銃を構え放った。
命中、しかし先ほどのように自分にダメージが跳ね返る。
腕が痛む。
危機的状況下で、私は何もできずにいた。
それでも何か方法を探すべく、頭を働かせる。
そのとき、急に耳元に息が掛かった。
「残念ね、時間切れ。」
意識はそこで途切れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこ@自己満小説(プロフ) - めっちゃ面白いです！更新頑張ってください！ (2021年12月6日 7時) (
レス) @page15 id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
零落*・reira(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです！これからもこの作品をよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2020年2月18日 7時) (レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - 合格おめでとうございます！！続編めちゃめちゃ嬉しいです！2も楽しみにしてます〜！ (2020年2月18日 4時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零落 | 作成日時：2020年2月16日 15時
