検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:7,521 hit

第4章 - 10話 ページ10

ドアを開けると、クラピカが静かに駆け寄ってきた。
私は両腕を広げ、そっと抱きとめる。
「A…オレ、すごく怖かった…。」
「来るのが遅くなってごめんね。でも、もう大丈夫。さあ、逃げよう。」
「あっ、待って。Aからもらったイヤリング、確かこいつが持っているんだ。」
「どこにあるか分かる?」
「うん、確か、右胸のポケットに入れていた。」
「了解。」
うつ伏せになって倒れた男を仰向けにして胸ポケットからイヤリングを取り出した。
「あったよ。おいで。」
そばにきたクラピカの左耳にイヤリングをつけ、震えている彼の肩に上着をかけた。
「これでよし。
じゃ、行こうか。おぶってあげる。」
「わっ、ありがとう。」
クラピカを背に乗せ、柵状ドアを抜け、用水路へ出た。


そのとき、

「ちょっと待ちなさい?」

奥から男の声が聞こえてきた。
私は出口へ走り出す。銃声とともに腿に熱を感じた。
背中にいるクラピカを案じ、体の前で抱きかかえる。
私はそうしている間も走る足は止めない。
しかし、相手もただ者ではないようだ。
足音がどんどん近くなる。

(クソ、逃げきれない!)

このままだとすぐに捕まってしまう。
クラピカと共に逃げるのは無理だ。

私は走りながら彼に声をかける。
「クラピカ、私は一人でアイツと戦う。クラピカは先にアンドレ共和国の空港に向かって。
上着のポケットに飛行機のチケットがあるからそれに乗って。もし私が明日になっても到着地へこなかったら、また、違う国へ逃げて。」
「でも…!」
「大丈夫。私はハンターだよ?さあ、下ろすよ。」
クラピカをそっと下ろし、私は逆方向に向かった。

「A!!」

彼の泣き叫ぶ声が聞こえる。

「早く行け!!」

私は振り返らずに大声で叫んだ。

第4章 - 11話→←第4章 - 9話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
99人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねこ@自己満小説(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2021年12月6日 7時) (レス) @page15 id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
零落*・reira(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます!すごく嬉しいです!これからもこの作品をよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ (2020年2月18日 7時) (レス) id: 5e63a1d1e7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - 合格おめでとうございます!!続編めちゃめちゃ嬉しいです!2も楽しみにしてます〜! (2020年2月18日 4時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:零落 | 作成日時:2020年2月16日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。