73話 side赤司様 ページ24
A『お人形になりたい。』
と彼女は言った。
彼女と初めて会ったパティーでも誰も見てない所でポツリと呟いた。
昔、聞いた。
赤司｢なんで？｣
A『だって、可愛いお人形さんは居るだけで良いんだよ。喜怒哀楽を捨てて、疲れもせず存在してられる。』
皮肉じみたその言葉。
A『父様だって、私なんか居なければって言ってたし、多分…君だって最初はそう思ってた。それに比べお人形さんは可愛くて必要とされて…不必要になっても感情ないから哀しくないでしょ？』
皮肉なその言葉は上手く本心を隠した。
Aは既にその時可愛かった。
でも、父親からの愛は歪んでいた。
僕の父親と同様に厳しい人だった。
A…
僕はお人形さんは愛せないよ…
いくら君だと言っても、僕はお人形さんになった君を愛せるか分からないよ…
A『The phantom〜…of the Opera is there…』
オペラ座の怪人を歌い出した…
口遊みながら君は何を見ているの？
新しい住人は既にAの手の中。
きっと、僕よりそのお人形に夢中なんだろ…
赤司｢…こんなに君を愛しているのに…｣
歌が途絶えた。
静まり返った冷たい家。
A『図々しいわ。』
おもむろに口を開けば、思いもしない言葉。
赤司｢…どうして？｣
A『…私の領域は土足厳禁よ。』
知ってるよ。それくらい。
A『征だからといって許すわけない。』
そうだよね、君はそうだ。
A『図々しい。』
ごめんね…でもその生き方を押し付けるのも図々しいよね。
お互い様だよね。
なんて言ったら君は僕を愛してくれない。
また勝手に出ていってしまう。
僕以外の誰かに振り向いてしまう。
僕以外の男に全ての愛を与えてしまう。
そんなのは嫌だ…
死んでも許さない。
僕以外の誰かなんて考えただけで発狂する。
虫唾が走る。
赤司｢…ごめん…許して…｣
だから僕は必死に君に許しを乞う。
僕以外の誰かに向けた口も表情も許さない。
僕以外の誰かに僕に向ける愛を渡すなんて…
君の全ては僕のもの。
僕への愛が途絶えたら僕は君と無理心中する。
A『……』
許してくれなくて、僕に愛をくれないなら僕は躊躇わない。
ガチャってドアが1つ開いた。
僕は3歩後ろに下がる。
A『……』
不貞腐れた顔で出てきた。
赤司｢…ごめんね。｣
Aを優しく抱く。
腑に落ちないのか抱き返してはくれない。
それでも良い。
君が僕以外誰かに行かないなら。
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maho1102(プロフ) - この作品好きです！！！歪んでるとこが1番好き！！これからも頑張ってください！！！ (2018年11月28日 10時) (
レス) id: 1f5c09aa67 (このIDを非表示/違反報告)
5号 ミッキー(プロフ) - 好きです。これからも応援します！更新、自分のペースで頑張ってください！ (2018年10月23日 21時) (レス) id: 27b1904a4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ペテン師 | 作成日時：2018年10月15日 22時
