One ページ1
産まれた
この世に産まれ落ちた日から
自分自身でそう感じたのだ
普通、自分が生まれた瞬間など
覚えている様な奴はいないだろう
脳も体も発達していない赤ん坊
しかも産まれた瞬間なんて
初めて息をして声を上げるという能力しか
持ちえていないものだ
脳みそなどあったもんじゃない
記憶をする事は不可能だ
なのに
私は何故か記憶していた
自分が産まれたという感覚すらあった
…まぁそこからの記憶は曖昧だが
優しい両親に育てられた
大体意識を覚醒させたのは１歳の頃
頭が回るようになり
自分が産まれた瞬間を思い出した
その事と今、１歳児とは思えないほど
頭が回る事も
人間としておかしい事を理解していた
親の前では子供らしく振舞った
そうでなければおかしい子だと思われるだろう
無邪気に笑ったり、強欲に泣いたり
感情のまま怒ったり
そうこうしている内に、私はすくすくと成長
父と母は私に良くしてくれて
小学校、中学校と歳を重ねた
成績は常に上位を保ち
スポーツはどんなものでもこなしてきた
よく助っ人として
様々な部活動の手伝いをしたものだ
…だが
心は満たされなかった
両親に愛されても
先生、友人に褒められ、頼られても
どんな豪華な賞をとっても
何か足りなかった
大事な物だっただろうか
大事な記憶だっただろうか
大事な人だっただろうか
何か、何かを…欠損している
それを探している内に
私は高校へと上がった
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私が入学した高校は
私の住まう県では一二を争う難関校であり
頭脳明晰の者や、スポーツ推薦での
スポーツ万能の者が集まる高校だ
自身を過信している訳では無い
ただ、いい高校に入学できたと自分を褒めたい
父と母も喜んでくれた
どうやら父は、この高校が夢だったらしく
私が入ってくれたことに
我が身のように喜んでくれた
今日から学校、入学式だ
白いシャツにセーターを着て、ソックスを履き
首にリボン、紺色のベストとスカートを履く
…様になっている。よし
墨のような長い黒髪を一つに纏め
スクールバッグを持ち
父と母に「行ってきます」と告げれば
「行ってらっしゃい」と優しげな声が返る
眩しい朝日に目を細めながら
私は一人、家を駆け出した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 193人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斬(プロフ) - しおりんさん» 続編に行きますのでそこで書かせてもらいまっす！ (2020年3月5日 19時) (
レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
斬(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！リクエスト…！大歓迎です！良いですね…書かせていただきます！ (2020年3月5日 19時) (レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - リクエストってOKですか???OKだったら泣いてるところを、見られた的なものを書いてほしいです。 (2020年3月5日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん - Twitter見たゼ!!!ｷﾗｰﾝ(*^-^) (2020年3月5日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
斬(プロフ) - アルバートさん» 誰かと一緒にドイツ……いいですねぇ…私もチャンピョン帰りの車で一瞬で読みましたよ！ほんと、もう、tn可愛かった！ (2020年1月28日 6時) (レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斬 x他1人 | 作成日時：2019年10月15日 3時
