燃え尽きたよ、真っ白に ページ33
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「──っやめて!」
鈴の音のように可憐な声が、緊迫した空気に響いた。
男達が思わず視線を遣った先には、その大きな瞳いっぱいに涙を溜めたAの姿があった。
Aは長い睫毛を伏せ、肩を震わせる。
「っぅ……ふ……っ……」
そしてポロポロと涙をこぼしながらしゃくり上げ始めたAに、戦意バチバチだった2人の顔が瞬時に青ざめた。
双方とも「───ッ!!?」と声にならない悲鳴を上げながら、ワタワタと両手を動かして必死にAを慰めようとする。
が、悲しきかな。
今までの待遇から凪が女の子を泣き止ませる方法など知っているはずもなく、例え相手を慰めようとすれどもその容姿の醜さから危害を加えたのではないかと疑われる始末である。
凛もそれに関しては同様であった。そして今回は幼馴染のAが相手だということもあり、幼少期の忌むべき記憶──凛のせいでAが虐められ、それを知らずにのうのうと生きていた自分の心の奥底に秘めた過去が、脳裏に蘇る。
凛の体が強張ったように固まり、凪が真っ青になりながら冷や汗をダラダラと流していた。
誰も彼もが食い入るようにAを見つめる中、彼女の薔薇の花弁のような唇がそっと開く。
「……みんな、邪魔してゴメンね。こんなことになるなら…っ………凛くん、これからはご飯一緒に食べるのはやめよう」
「エッ」
その瞬間、青の監獄の男達は幻視した。
Aにハッキリと拒否された瞬間、凛の精神が真っ白な灰のようになりながら倒れ伏すのを。
(((り、りーーーーん!!!!)))
哀れなり、凛よ。
男達は心の中で合掌した。確かに俺らもマドンナに拒否されたら生きていける気しねぇや。ははは。
しかしそう凛を悼む気持ちの裏側。男達はニヤケそうになる頰を必死に押さえつけながら、A達に神妙そうな顔を向けていた。
(ザマァーーー!!ザマァ凛!!)
(俺ら差し置いてA呼びした挙句、あーんは高望みなんだよ!!!)
(そういえば凛がいない今ならAさんに近づけんじゃね!!?)
(天才だ)
(神じゃねぇか)
と。
まぁ男達の醜い嫉妬であった。
そしてそんな中、真っ白に燃え尽きた凛と何も言及されず、まさか嫌われたのではと顔色を青くさせた凪に挟まれていたAは、内心ペッと唾を吐きながら食堂を悠々と後にするのだった。
「私にあーんするなんて100万年早いんだよ。せめて女子になってから出直してこい」
小さな声でそんな事を呟きながら。
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まったり団子 - ウッウッ・・・最高だ・・・特に糸師兄弟が揃いも揃って盛大に勘違いしてるのが・・・これからも読ませてください!お願いします! (2月24日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 結葉さん» ありがとうございますーー!🥹これからも応援してくれたら嬉しいです (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - あいらさん» 返信遅れて申し訳ないです😭冴はもうすぐ出てきたますので、是非お待ち下さい! (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (10月12日 10時) (レス) @page31 id: 119a923417 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - このお話が大好きです!早くカイザーやネス、冴に会ってメロメロにしてほしいです! (10月12日 5時) (レス) @page32 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずき | 作成日時:2023年1月29日 21時