検索窓
今日:17 hit、昨日:103 hit、合計:122,851 hit

蜂楽廻 ページ6




──しかし、あんな高嶺の花に恋するなんて、と嗤った男達も、例外ではなかった。


「………あ!あの、ね………!」


ちょっぴり気まずげに視線を逸らし、もごもごと唇を震わせながら、Aは自分に注目する男達を見つめた。
誰かがごくりと唾を飲み込む。

Aは少しだけ照れ臭そうな顔で、だが、めいいっぱいの笑みを浮かべて言った。


「私、一応君たちのマネージャーだし……す、好きなときに声かけてきてくれていいからね!」


その笑顔に、その明るい声に。不細工だろうが関係なく、分け隔てなく接してくれようとしているAに、誰もが心を撃ち抜かれた。
反応が無いことに困ったような顔をするAは、きょろきょろと不安そうに周りを見渡す。


そしてシンと静まり返った空気に、気まずそうに頰を掻いた。そして少し泣きそうな顔で、


「あ……ご、ごめん……調子乗ってた、かも……」


と呟いてみせた。

男達は一様に自らの不細工さを呪った。不細工でなければ、せめて普通の顔であれば、今この場で声を出せたのに、と。

寂しげに瞳を揺らしたAは、ごめん、と小さく口に出して、くるりと背を向けた。


ああ、行ってしまう!!俺たちに優しく接してくれるであろう唯一の女子が──


誰かが掠れた声で制止の声を上げようとした、その瞬間であった。


「じゃ、お気遣いに甘えて♪」


ぎゅっ、とAの背後から、誰かが抱きしめた。「「「あ゛ーーーーーッ」」」と嫉妬の声を上げる男共を気にもせず、戸惑うように振り返ったAの視界に写った男は──


「えっと……ば、蜂楽廻くん…だよね?」

「せーかいっ♪」


ぱっつんの前髪、所々に金色に色づいた髪の毛、くりくりと丸い瞳。
お茶目な感じでAに気安く声を掛けた蜂楽に、皆がギリィと奥歯を噛み締めた。
くっそ、出遅れた……!

しかし男達に避けられてる()と思っていたAの表情は、蜂楽のおかげで面白いくらいに輝き出す。キラキラした丸い瞳に、一般的に言われている“不細工”な蜂楽の顔面が映り込んだ。
美醜はあまり気にしない蜂楽でも、これはどうなのかと思うレベルの自分の顔立ちだ。

すわ、泣かれるか、悲鳴をあげられるか……と身構えた、その直後。




高嶺の花→←マドンナ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (357 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
805人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まったり団子 - ウッウッ・・・最高だ・・・特に糸師兄弟が揃いも揃って盛大に勘違いしてるのが・・・これからも読ませてください!お願いします! (2月24日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 結葉さん» ありがとうございますーー!🥹これからも応援してくれたら嬉しいです (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - あいらさん» 返信遅れて申し訳ないです😭冴はもうすぐ出てきたますので、是非お待ち下さい! (12月13日 22時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (10月12日 10時) (レス) @page31 id: 119a923417 (このIDを非表示/違反報告)
あいら - このお話が大好きです!早くカイザーやネス、冴に会ってメロメロにしてほしいです! (10月12日 5時) (レス) @page32 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みずき | 作成日時:2023年1月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。