探偵達はカフェにいる【オリジナル】 (ページ29)

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チョコを賭けろ！　レイモンとフェリシエンヌページ29

　レイモンさんには幼馴染がいる。フェリシエンヌ・アスクレピオスさんは、どうやらレイモンさんと赤ちゃんの頃からの幼馴染だそうで。ポニーテールにしている真っ白い髪とまん丸い目の中に輝くピンク色の瞳を見ていると気がつく事がある。この子レイモンさんと色合いが反対なんだな。偶然にしちゃ出来過ぎた話だけれど、それも不思議な島なら起こり得る事なんだろうか？

　この二人はとても仲が良い。無表情なレイモンさんの感情の機微を、彼女はすぐに感じ取れるらしい。他の人から見たら変わっていないように見える顔も、フェリシエンヌさんから見たら感情豊かに映って見えるのだろう。凄い能力だねそれ。

「お待たせしました、チョコレートセットです」

　お二人は、カフェでもとくにカップル層やファミリー層に人気のチョコレートセットを頼んだ。色んな味のチョコが楽しめるから子供に絶大な人気を誇っている。勿論これも手作り！頑張ってテンパリングもしたし味にもこだわったのさ！

「ありがとうございますAさん」
「ありがとうございますAさん！」

　レイモンさんとフェリシエンヌさんは私にお礼を言うと、お互いをキュッと睨み合った。あれ、もしかして喧嘩中？え、え、どうしよう。私、周りの人達が喧嘩をしているとこっちまで悲しい気持ちになっちゃうんだよね。なんというか、自分も怒られているみたいでさ。お～い、仲良くしているんだよ～

「さあ、レイ！このチョコを賭けて勝負よ！」
「望むところだよフェリシー」

　あ、仲が良い！仲が良いわ普通に！というかチョコを賭けて勝負って一体何だろう。それだったらこっちの「勝負用チョコレートセット」を頼めばいいのに。勝負に勝ったらチョコレートを渡していくっていうライバル持ちや企業層に人気のセットだから今の状況にピッタリだよ、多分。

「それで、勝負の内容は？」
「神経衰弱！」
「いいよ」

　子供らしいな、っていうのもどうかと思うけれど、神経衰弱が勝負内容って可愛いね。あれ、でもカフェのテーブルちょっと狭いけれどいいの？というかチョコレートセットはどこの置くの。あれ、フェリシエンヌさん皿に何を振ったの？うわ、空中に浮いている！！待って私の作ったお菓子が空中に浮いているよ！！？？え、怖！イリアス島の子達怖！！

「マシィから貰った魔法薬だね」
「うん！どっちかが勝ったらチョコレートが手の中に落ちてくる仕組み！」
「便利だね……よし、勝負を始めようか」
「負けないからね！」

　ちなみに勝負は引き分けだったりする。

　