531話 全て ページ5
──「もう、隠し通す事は出来ないわね……。A。あなた、何故記憶を失ったのか覚えてる？」
『え？……っと』
すぐに監督を呼び、姉さんに電話した。
僕の話を黙って聞いていた姉さんは、突然聞いてくる。
僕は受話器を片手に、記憶を辿った。
──「思い出せないでしょう？しかも、今まで疑問にすら思わなかった。あなたほど鋭い人間が」
『……』
──「おかしいと思い始めてきたんじゃない？」
電話口に、姉さんが少し躊躇ったのが分かる。
それでも何も言わずに耳を澄ましていると、姉さんの決意のこもった声が聞こえてきた。
──「秋江さん……あなたのお母さんね、以前、おひさま園を訪ねてきた事があったのよ」
──姉さんが語ったのは、こんな話だった。
僕が、お姉ちゃんの死から立ち直った頃。
玄関のインターホンが鳴った時、父さんも姉さんも手が離せなかったため、当時周りより大人びていた僕に向かわせた。
しかし、玄関を開けてすぐに聞こえた「ドサッ」という音に異変を感じた姉さんは、慌てて玄関へ向かった。
そこには、気絶した僕と、不思議そうな顔をした母さんが居たそうだ。
──「あの時、まだあなたは幼くて……雪乃の死を乗り越えたばかりだったから……あまりのショックに、それまでの記憶を失ってしまったの」
姉さんは、僕の身を案じて、医者に催眠療法を頼んだ。
そして、小学生のうちから全寮制の、白鷺学園に入学させた。
『……そうだったんだ』
──「……ごめんなさい。そろそろ言うべきだとは思ってたんだけど……」
『……ううん。教えてくれてありがとう、姉さん』
電話を切る。顔を上げた。
目の前にそびえ立つ、重苦しい──少なくとも、今の僕にはそう見えた──木の扉を、意を決して押し開く。
『……お待たせしました』
中で向き合っている、監督と母さんの視線に、自然と顔が強張った。
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杳覇(プロフ) - オムライスさん» そう！「くらは」って読みます！もちろん良いよ！！ベルちゃんのままでお願いしますっ！ (2020年3月12日 14時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - オムライスさん» オムちゃん！！ありがとう！！わあああおめでとうーーー！！！私もすっごく嬉しいです(〃ω〃) (2020年3月12日 14時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
オムライス - そういえばベルちゃん、名前が変わってる！呼び方ベルちゃんのままでいいかな？ (2020年3月12日 14時) (レス) id: 89108aaf87 (このIDを非表示/違反報告)
オムライス - ベルちゃん志望校合格おめでとう！私も第一志望校受かってました！また楽しくお話を読めるのが嬉しいです！ (2020年3月12日 13時) (レス) id: 89108aaf87 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 朧月さん» ふええいいのか！？こんな駄作見たら朧月の美しい文体が汚れるよう……(泣) あっ、559は世界編に移行してからのお話で、最初から合わせると実に896話目になるんだ……(笑)ありがとー！朧月のも応援してます！！ (2020年2月23日 14時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2019年11月26日 17時
