黒翼の夜叉姫は大人気携帯小説家 第3章 【イナイレ】

第122話 俺達の夢 ページ37

「美しい友情っすねー……」



見事な程の棒読みで言ってのけた唐須は、突然カッと目を見開いた。



「そんなモン、俺達が全部ぶち壊してやるぜぇぇえ!!」

「「おお!!」」



不良達が一斉に飛びかかった、その時だった。







「「!!」」



飛鷹と不良達との間に、太陽の光を受けて輝くスケボーが飛んできたのは。





「間に合ったみたいですね…！」

「す、鈴目!?」



そこに乗っていたのは、ビッグウェイブス戦前に宿舎に入ってきた、オレンジリーゼントの男とその仲間達。

唐須の前に立ちはだかった彼らは、相手を睨みつける。



「飛鷹さん、ここは俺達に任せて下さい!!」

「これ以上、唐須の好き勝手にはさせませんよ!!」

「…お前達……」



自分を、自分達を守ってくれようとしている彼らの背中を見つめ、飛鷹は無意識に呟いた。



鈴目は唐須達の方を向いたまま、言う。



「飛鷹さんと出会わなければ、俺は今も弱いままだった……急いで下さい。試合に遅れちゃいけません!!」

「鈴目……」

「俺達の夢、消さないで下さい。飛鷹さんが活躍するのが……俺達の夢なんです。

羽ばたいて下さい、飛鷹さん。世界に!!」





そうして、キャラバンは無事出発。

しかし飛鷹は、彼らが見えなくなっても、後部座席の窓から外を見つめていた。









「遅れてすいません、監督！」



キャラバンから飛び降り、外で待って下さっていた久遠監督と冬花の元へ。

監督は何も聞かず、全員の顔を見渡した。



「全員揃っているな。行くぞ!!」

「「はい!!」」

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