黒翼の夜叉姫は大人気携帯小説家 第3章 【イナイレ】

第114話 dry ページ27

「Aさんっ…！」

「ああもう、女の子なのにこんな汚れて…！」



練習終了後、泥だらけの私を見てマネージャー3人が駆け寄ってきた。

酷い心配様に、苦笑いしか出来ない。



「さ、シャワー浴びて来て！変えのユニフォーム置いとくから！」

『うん。ありがとう、秋』







『うわぁ……』



改めて鏡で見れば、長い黒髪が泥んこになっていた。

これは洗い甲斐があるな、と、髪を濡らしながら考える。





……豪炎寺は今、何してるんだろうか。

そして円堂は……話を聞いた事で、何を考え、どうしたのか。



後者は大体予想つくけどね。





『……よし、さっぱりした』



泥の落ちた髪の毛をタオルで巻いて、シャワー室を出た。







「……!?Aさん!?ドライヤーは!?」

『え？いつもタオルドライだけど……』

「それでそんなに綺麗な髪してるんですか!?嘘でしょ!?ちょ、来て下さい!!」

『え、』



脱衣所を出た所で、春奈に捕まった。

部屋に戻ろうとすると、ガシッと手を掴まれる。


……連れて行かれた場所は、何故か食堂だった。



「ちょっと待ってて下さいね！」

『え、え』



突然頭にタオルを巻いた状態で出てきた私を、みんなが驚いて見つめてくる。

訳のわからぬまま椅子に座らされ、私は春奈に見捨てられました。



「Aちゃん？どうしたの？」

『いや、私にも何がなんだか……強いて言えば、春奈に見捨てられ＿＿』

「な訳ないでしょう!?」

『あ、良かった』



吹雪に答えていれば、春奈がある物を手にして割り込んでくる。

その手にある物を見て、ああ、と納得した。



『ドライヤー……』

「そうです！少なくとも、FFIが終わるまでは、ドライヤーしてもらいますよ！」



タオルが外され、ドライヤーのスイッチがオンになると、暴風が吹き出て来る。


生まれて初めてのドライヤー。……いやほんとに。

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