鱗のつばさ (ページ20)

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どん、と黒い器が目の前に二つ置かれる。

そして透明な大皿とグラス。

「こっちはぁ、和えそばでぇこっちが豆腐のサラダ、あとこれは試作のカクテルっぽい見た目のなんか」

「なんかってなんだ」

「わかんなぁい、ブルーハワイ系の飲み物？」

「なるほど、ありがとう」

いえいえーと手を振ってフロイドは自分の持ち場へと帰っていく。

売り上げが増えて給料が上がったからか、それとも単なる風の吹き回しか、彼は以外と真面目に厨房を回してくれているようだ。

「で、錬金術はどうなんです？」

「ああそれがさあ、僕どうにも才能がなくて……魔法薬学はどうにかなりそうなんだけど」

得意科目と不得意科目の差が大きすぎるのだ。

どうにも錬金術だけは毎度毎度鍋を焦がすか爆発させるかしている。

そういえば、と横を見た。

この人、たしか得意科目が錬金術だ。

「そこでアズールくん僕からおひとつお願いが」

「……聞くだけ聞いてあげましょう」

「錬金術、先生にお情けでレポートをもらえたんだけど、それがどうにも難易度の高いやつで……放課後手伝ってくれないかな」

あ、この和えそばめっちゃ美味しい。

フロイドの賄いは美味しいと僕たちの中では有名だ。

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