気づいたら死亡率95%の漫画の世界だった【名探偵コナン】

＊幕間 ページ16

「っっ終わったあ〜〜〜！」
「モリアーティうるせーぞ！！」


モリアーティ役である男子生徒が大声で叫ぶと、すかさずサークル長が背中をバッシーンと叩いた。舞台が終わった直後なので、幕の内が煩いと舞台そのものが残念になってしまうということもあってのことだろうが、今のはどちらかというと「良くやった」という意味合いが強そうだ。


「三浦ーーーー！！！」
「えっちょ、待……アイターーーーーッッ！！！！！」


振り返ったサークル長が全速力でこちらへやって来て、同じように背中を叩かれる。この人、私が女子だと忘れてはいないか……？(確かに私はイケメンすぎるほどイケメンだが)


着替えを終え、十分の休憩の間に観客席へ向かうと、席から立ち上がった園子ちゃんが「涼さあーーん！」と手を振ってくれた。は？ かわいいの暴力なんですけど。


「園子ちゃん、蘭ちゃん！ どうだった？」
「もうもう、すっごい迫力でした！ 涼さん本当にかっこよかった！」
「ホームズがいたらこんな感じなんだろうなって思えちゃうくらい凄かったです！ また涼さんが演じてるとこ観たいなあ」


褒め殺しってこういうことを言うんだろうね。
照れ照れしながら一列後ろの席に座ると、コナンくんがパッと振り返った。


「三浦さん、すっごくかっこいいホームズだったよ！」


爆死。
ホームズオタクにそう言ってもらえるだなんて、演者冥利に尽きる、本当に。


「隣り、いいですか」
「ええどうぞ」


反射的に笑顔を振りまいた。初対面だというのに見覚えがあるという矛盾は恐らく前世の記憶から成るもので。


「あっ、沖矢さんだぁ〜〜」
「こんにちは、コナン君」


そうだ、隣にいるのは、これが素顔じゃないって友人が力説していた人じゃないか。


「この人、三浦さんって言うんだ！」
「三浦さん、ですか。初めまして、沖矢昴と申します」
「アッ、ご丁寧にどうも、三浦涼です」


あの〜〜アレ……やっぱ名前は思い出せなかった。
　
　
　

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