作戦参謀と五大幹部サマ【中原中也】

作戦参謀 22 ページ25

「きゃああぁあ！中原幹部！降ろしてぇ、降ろして下さいぃい！」


ワァワァと涙ぐみながら足をジタバタさせるAを、中也は横抱きにして歩く


ーそう、拠点ビルの外壁を地にして


「うるせェな…散歩するか？っつったら、良いですね！って言ったじゃねェか」


「これは散歩じゃないですぅう！」


幾ら異能力を使っているからといって、落ちてしまいそうで


下を見ると、ヨコハマの街が遥か下に広がっていた


「ひっ…」


Aが震えると、中也はAの顔を自分に向かせた


「いいか、下を見るな…俺にしっかり掴まってろ」


その中也に台詞に、心臓が小さく跳ねる


Aはこくり頷いて、離れないように中也の身体にしがみついた




横抱きに無理矢理したAは、とても軽くて、華奢で、小さかった


(此奴…細ェ身体してンな)


必死に中也にしがみつくAの姿を見て、中也は優越感に浸っていた


(…本当、可愛いやつ)


もう少し怖がる様子を見たいという悪戯心もあるが、これ以上怖がらせると泣いてしまうだろう


中也は目を瞑るAを見て、小さく笑みを零した


揺すらないように、ゆっくりと歩いていき、漸くビルの屋上へと着く


「ほら、着いたぞ」


Aをそっと地面に降ろすと、Aは恐る恐目を開けてー…


「わぁ…！」


子供のように目を輝かせて…目の前に広がる、夕暮れのヨコハマの景色に感嘆の声を上げた


「綺麗だろ？ここ、俺だけの穴場なんだぜ」


中也が屋上に座ると、Aもその隣に腰を降ろした


「今までで一番綺麗な夕日です！」


夕日を指さしてキャッキャッとはしゃぐと、Aは中也の方を向いて


「ー中原幹部の異能力は、とっても素敵な魔法ですね」


心から、幸せそうな笑みを浮かべた


その天使のような微笑みに、中也の鼓動はとくん、高鳴る


「…魔法？」


「はい、人を幸せに出来る魔法です…だって、憂鬱だった私を、元気にしてくれましたから」


その笑みをふっ、と崩して、Aは少し憂いを帯びた瞳を向けた


中也は、先ほどまでの眩しいくらいの笑顔が消えてしまったことに、憂いを帯びた瞳に、悲しみと、少しの嫉妬を覚える


(きっと、その瞳の原因は…首領だ、俺なら、お前にそんな顔させねェのに)


そんな想いを抱える自分に気づいた後中也は空を見上げ、笑みを零した


「魔法、かァ…、ありがとな」


(魔法なんて、言ってくれるなんてな)


魔法に掛けられたのは、Aか、其れ共、否か

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