サンクチュアリの良い所 ページ27
あぁ……僕だって、このままあの二人と暮らして行くのは嫌だよ。
でも、ユウミさんの存在は二人の酷い行いを補ってあまりある……!
僕はお粥を食べ終わった後、どうにかして家に帰らないで済む方法はないかと、夜通し考えていた。
翌日、僕は時計の針が6時を指すとすぐに3号室を出て、シャワーを浴びた。
早くしないと、お母さんがこのサンクチュアリに来ちゃう!
僕は少し焦っていた。
僕は、夜通し実家に帰らずに済む方法を考えた結果、お母さんにこのサンクチュアリの良さを分かってもらう為にも自分でここの推薦文を書く、という事を思いついた。
お母さんはとにかく口が達者な人だから、僕は煙に巻かれてお母さんの言うままに流されてしまう事が多い。
でもしっかりと文章を準備しておけば、お母さんが「ああ」言った時には「こう」言えるはず!
頑張るんだリーハ!
グズグスしていられないぞ!
熱いお湯を被って頭がスッキリした後、僕はすぐに身支度を整えて3号室へ戻った。
机に向かいノートを広げ、精神を統一していると、一階からは微かに物音が聞こえて来た。
ユウミさんはもう起きているのかな?
ふと思いついて窓を開けると、思った通りユウミさんは庭の花々に何事かを話しかけながら水をあげていた。
ユウミさんの金髪は太陽の光を受けてきらきらと光っている。
その上、ジョウロから鉢へ花壇へ注がれる水は小さな虹を作り、ますますユウミさんを天使のように見せている。
僕は思わず、そんなユウミさんを間近で見たくなった。
「そうだ、お皿を返さないと。昨日のお礼も言わなきゃだし」と下に降りたくなる誘惑に駆られた。
駆られたけど………。
僕は再度深呼吸をして、精神を統一する事に努めた。
何はともあれ、今後の生活の為にも、今は集中して推薦文を書き上げなくては。
僕は椅子に座り直し、ペンを握りしめ、サンクチュアリの大家さんは、とても素敵な方です……と書きはじめた。
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時