第玖拾伍夜・「出会い」 ページ6
気づけば体が先に動いていた。
かつかつと栗色の編み上げブーツを鳴らし、
ふわふわと淡い水色のワンピースを揺らせ、
漆黒の髪を靡かせながら道を開けていく群衆に見向きもせずに
少年の立つ台へと近づく。
そして片手を商人に差し出す。
「私が買い取る。・・・おいくら?」
と、その商人を睨みながら、声を響かせる。
漆黒の瞳に、漆黒の長い髪。
これを見てエテルノ王国第一皇女だと気づかない者はいない。
商人は殺されるとでも思ったのか少年を台から突き飛ばし、
荷物を持って一目散に逃げた。
突き飛ばされた少年を受け止め、群がっていた群衆を睨みつける。
すると群衆は次から次へと後ずさりし、逃げるように早足で去っていった。
「・・・情けないひとたち。・・・・あなた、おなまえは?」
腕で受け止めた少年の手錠や鎖や足枷などを外しながらそう聞く。
少年は戸惑いながら、答えた。
「・・・・カルラ・・・・といいます」
―――これが、カルラとの出会い。
*
カルラを城に連れて帰り風呂場で体を洗ってもらって
さっぱりとした状態で城下町へ出かける前に座っていた、城の庭の大きな木の下へと
連れて行くと木の根元へ座らせた。
そして自分もカルラと向き合った状態で木の根元に腰を掛ける。
城下町へ出かける前に木の根元に座っていたアルバは別の仕事に移ったらしく、
もうその場にはいなかった。
「・・・えっと・・・」
こほん、とひとつ咳払いをして口を開く。
カルラの目を見ると、無表情のままびくんと体を震わした。
そんな様子に戸惑いながらも、カルラに"してほしいこと"を頼む。
「えっと、まずこのお城に住んでほしい。
それと・・・あ、ちがうや・・・"それと"じゃないや・・・・
う、えーと、えっと・・・・あっ! そう!
も・・・もしもね? もし、このお城に慣れなかったらさ、
カルラ用のお部屋もあるんだけど何かはじめてのところだしなれないと思うの。
だからさ、ずーっと私の部屋にいたらいいよ。
そこも落ち着かなかったらこのお庭にいればいいし。
ここは暖かくて涼しくてぽかぽかしてて、いいところだから。
それとね、私の遊び相手になってね。
それでごはんも一緒に食べよう?
それから一緒におかいものにいくの。
それとそれと、毎日たくさんおしゃべりする!
・・・・・・分かった?」
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ミシェリ - この小説の大ファンです!これからも頑張ってください!!あと日替わりのパスワードって何ですか?凄く見たいのですが、何処かにのってました? (2015年6月3日 21時) (レス) id: 2f3002f74e (このIDを非表示/違反報告)
凛勇(プロフ) - 玲琉.さん» 申告有り難う(^∀^*) 分かった!楽しみに待ってるね☆ d(`・ω・´ ) (2014年8月24日 13時) (レス) id: 14a79c903a (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - 紅凛檎さん» ok〜(^-^)/ 手紙届いたよ!!有難う!只今お返事作成中ー( *`ω´)待っててね! (2014年8月24日 10時) (レス) id: 754b0bfd10 (このIDを非表示/違反報告)
紅凛檎 - 玲琉.さん» うわっ!ログインダメだったよ;;ちょっと、名前変えて登録し直して来るね;その時は、また友達忠告?宜しくね; (2014年8月24日 9時) (レス) id: 14a79c903a (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - 紅凛檎さん» 久しぶり!!!!!会いたかったよぉぉお!!何でログインできなくなっちゃうんだろう・・・?手紙ありがとう♪楽しみに待ってる(`・ω・´) (2014年8月22日 9時) (レス) id: 754b0bfd10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲琉. | 作成日時:2014年6月28日 12時