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第参拾捌章・「緊急」 ページ38

「―――――Aちゃん!!!!」


不意に耳元で紅玉ちゃんの声が聞こえ、びくりと肩が震えた。

キンキンと痛む耳を咄嗟に手で押さえながら、

「紅玉ちゃん瞬間移動でもしたの?!

 私、紅玉ちゃんが近づいてきてるの全然分からなかったよ?!」

と言う。

そして初めて紅玉ちゃんの表情を見、目を見開き、驚いた。

強がりな紅玉ちゃんがぽろぽろと涙を流していたから。

「え、え? どうしたの? 私、・・・何かした?」

ぎょっとしながら静かに泣く紅玉ちゃんに恐る恐る聞いてみると、

紅玉ちゃんは服の袖で涙を拭いながら、ふるふると顔を横に振ると

ひとつひとつ言葉を区切りながら、震える声で打ち明けだした。


「お・・・にいさま、が・・・・!・・・紅覇、おにいさまが・・・!!!」

「紅覇!? 紅覇がどうしたの!?」

「いっぱい、まっか・・・まっかな・・・」

「まっか? まっかって・・・」

「まっかな、えき・・・、真っ赤な血、だして・・・っ」


その言葉で状況をおおよそ理解した私は紅玉ちゃんに紅覇の居場所を聞き、

紅玉ちゃんは神官さんに任せ、走り出した。


紅玉ちゃんに、

「絶対助けるから。大丈夫だよ」

という言葉を残して。



*


最初に鼻孔を擽ったのは鉄の匂い。

次に視界に映ったのは真っ赤な大量の液体。

その次に見えたのは紅覇の自室の中、今も苦しみ続ける紅覇の姿。

口からいっぱいいっぱい体内にあったものを吐き出して、

苦しそうに呻いて、泣いて、泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて


それでもどうして

君はどうして今も



「千鶴・・・千鶴・・・っ」



あの子の名前ばっかり呟いてるの?


あの子ばっかり


私は見てくれないの?



「・・・・・・皇子様、患者室まで運ぶよ」

シエルの声で我に返った私は「はい」と短く返事をすると

紅覇を運ぶ準備に取り掛かった。

第参拾玖章・「シエル」→←第参拾漆章・「キス」



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あぉぞら - すいません!紅覇くんの消してしまいました…。短編集書いてるので、良ければそちらを…!すいません!玲琉.さんの作品、大好きなんでこれからも読ませて頂きます! (2015年6月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - あぉぞらさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてすごく嬉しいし励みになります・・・! あぉぞらさんの小説は時間があれば是非読ませて頂きます・・・! (2015年6月9日 18時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
あぉぞら - 私、小説の一気読みはしないんですが、この小説は面白すぎて一気読みしました!私も紅覇くんの小説かいてるので、良かったら見て下さい! (2015年6月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
もちづき。(プロフ) - 玲琉.さん» ひえええぇありがとう・・・!!発想力というか妄想りょ((ゲフンゲフン。うん!ちょっと息抜きとかに読ませてもらうね! (2014年12月29日 14時) (レス) id: 8ea19f9ae6 (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - もちづき。さん» 来てくれて有難うー!!!!つきちゃんは文才あると思うよ^^っていうか恋愛のシチュエーションとかの発想力がすごいと思う!この小説はマギ知らなくてもわかる内容だと思うよ・・・!多分・・・!良ければ全部読んでやってね()綺麗な文章とか何それ嬉しすぎ>< (2014年12月29日 14時) (レス) id: 754b0bfd10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲琉. | 作成日時:2014年4月4日 18時

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