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第弐拾玖章・「報告」 ページ29

*

鍛練場から出てきて、私たちのいる庭に来た白龍皇子に神官さんより早く駆けつけると

「どうだったっ? どうだった!?」と兎のようにぴょんぴょん飛び跳ねながら聞く。

白龍皇子の機嫌が若干悪そうなのは多分気のせい。


「兄上殿・・・過去しか見えていません」


白龍皇子はぽつりと小さく呟いた。


「過去しか見えてない?・・・それって、紅覇が言ってた"千鶴"さんって子の――」


白龍皇子は私の言葉の途中でにこりと微笑んだ。まるで遮るかのように。


胸がうずうずとし、いてもたってもいられなくなって白龍皇子に詰め寄るかのように

体を近づかせ、抱いてた疑問を吐き出した。


「あのさ! 白龍皇子は知ってるんだよね?・・・その、紅覇の過去を。

 だったら―・・・もし、良かったら教えて欲しいなって・・・・――」

「それは無理です」


白龍皇子は再度、笑顔のまま私の言葉を遮った。


「それは、直接兄上殿の口から聞くものです。

 ・・・あと報告で、兄上殿に"A殿のこと、好きなんですか"と聞くと

 非常に取り乱していました。

 俺にはそれが肯定にしか思えません」


白龍皇子は淡々と報告を口にすると、「それでは。俺はこれから会議があるので」と

そそくさと庭から出て行ってしまった。



「ねー、じゅだるん、私の白龍サマが冷たいよー? 反抗期ですかねぇ?」


顎に手を当て、横にいる神官さんの顔を覗き見る。

すると彼はいきなり「はぁぁぁ〜〜」と盛大なため息をつき、額に片手を当てた。


「やっと"ジュダル"って名前で呼んでもらえたと思ったら・・・何その呼び方。

 何で白龍がお前のなんだよ」

「ほうほう。つまりは白龍皇子は俺のものだ、と。そう申したいのですね?」

「いやいや違うから。俺が同性好きみたいになっちまうじゃねーかよ」

「え、じゅだるん"ほも"じゃないんですか?」

「どこでそんな言葉覚えた」

「シエルに教えてもらいましたー」


にっこりと笑い、神官さんの顔を覗き込むと、神官さんはもう一度ため息をつき

「今度注意してこなきゃいけねーなー・・・」と呟いた。

と、はたと思い立ったように私の顔を見、「そういえば、」と問う。


「Aと白龍って仲いいのか? 敬語使ってなかったけどよ・・・」

第参拾章・「白龍皇子との関係」→←第弐拾捌章・「虚ろな目」



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あぉぞら - すいません!紅覇くんの消してしまいました…。短編集書いてるので、良ければそちらを…!すいません!玲琉.さんの作品、大好きなんでこれからも読ませて頂きます! (2015年6月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - あぉぞらさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてすごく嬉しいし励みになります・・・! あぉぞらさんの小説は時間があれば是非読ませて頂きます・・・! (2015年6月9日 18時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
あぉぞら - 私、小説の一気読みはしないんですが、この小説は面白すぎて一気読みしました!私も紅覇くんの小説かいてるので、良かったら見て下さい! (2015年6月9日 1時) (携帯から) (レス) id: 0a5444ed6a (このIDを非表示/違反報告)
もちづき。(プロフ) - 玲琉.さん» ひえええぇありがとう・・・!!発想力というか妄想りょ((ゲフンゲフン。うん!ちょっと息抜きとかに読ませてもらうね! (2014年12月29日 14時) (レス) id: 8ea19f9ae6 (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - もちづき。さん» 来てくれて有難うー!!!!つきちゃんは文才あると思うよ^^っていうか恋愛のシチュエーションとかの発想力がすごいと思う!この小説はマギ知らなくてもわかる内容だと思うよ・・・!多分・・・!良ければ全部読んでやってね()綺麗な文章とか何それ嬉しすぎ>< (2014年12月29日 14時) (レス) id: 754b0bfd10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲琉. | 作成日時:2014年4月4日 18時

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