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彼女を部屋まで案内し、「13:30にキッチンに行きなさい。場所はノートに書いてあるわ、それまでにそれよく読み込んでおいて」とだけ言い残して自室に戻る。
カップの片付けをした後、椅子に座り、体を丸める。
「はぁ…先輩ヅラするのも大変ね…気が滅入りそう」
今まで、従者の中で一番年下だった為にずっと先輩達から可愛がられてきたのだ。
それをそのまま彼女にもやってあげれば良いだけの事なのだろうが、私には無理そうだ。
「…よし」
5分ほどぼーっと椅子に座っていたけれど、私にはまだまだするべきことがあるのだ、こうしてはいられない。
立ち上がって、地下の倉庫まで掃除用具を取りに向かう。
そこから綺麗な雑巾2枚と箒を取り出した。
「まずは西棟の一階…かしら」
そんなことを呟いて、西棟への長い回廊を歩き始めた。
掃除をし始めてから随分たった頃、ふと自分の懐中時計を見ると短針が1、長針が20を指していた。
使用人の半分が食事をする13:30に間に合うように箒と雑巾をさっと片付けて、キッチンに向かう。
向かったキッチンでは、既に数人がいた。
その中に泉さんの姿も見えた。
「お待たせ、泉さん。待たせちゃったかしら?」
そう小首を傾げると、彼女は頭をふるふると横に振った。
「いえ、今来た所です」
なら良かった、と椅子を持ってきて座る。
「使用人がご飯を食べるタイミングは二回あって、11:30からと13:30。12:00から13:30までは一ノ瀬家の方々がお食事されているから、キッチンには立ち入らないようにね」
彼女が頷いたのを確認して言葉を続ける。
「今日は13:30の方だけど、明日からは11:30からの方に行ってちょうだい。朝食は6:00頃に来たら簡単なサンドイッチとか置いてあるからそれを食べてね」
ぱぱっと説明が終わり、昼食をトレーに乗せて簡易テーブルまで運ぶと、二人で手を合わせた。
「「いただきます」」
久々の、一人じゃない昼食だった。
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作者名:月見だんご | 作成日時:2018年3月31日 23時