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背中の紐をぎゅっと締められ、きゅっと結ばれる。
「貴方細いわね…私よりも細いんじゃない?」
折れちゃいそう、と呟かれて私は首を傾げる。
「こんなもんだと思うんですけど…」
分かってないわねという風に肩を竦められ、肩に手を置かれて椅子に座らされた。
そして彼女はどこからかメイク道具を取り出した。
「肌は元々綺麗だからファンデーションは良いわね、チークからかしら」
頬、瞼、唇、目尻と、順番にメイク道具に撫でられている感覚があった。
それが終わって、最後に明らかに本物であろう宝石がついたネックレスをつけられて、髪を整えて終わり。
「おー、結構良いじゃん。流石瀬那」
「でしょう?これならあの富豪に売るのも可能かもしれないわよ」
いつの間にか入ってきていた彼と瀬那さんが、頭上でそんな会話をする。
…本人の目の前でそういう会話やめてくれないか。
いきなり現実に引き戻されて、不快極まり無いのだ。
眉間にしわを寄せると、いきなり視界が暗くなった。
「えっ…?」
「目隠し。今から行くけど、場所がバレないようにね」
困惑する私の代わりに彼が耳元でそう言った。
ついでに、手首が麻縄かなんかで縛られる感覚もあった。
動揺で動けない私を、誰かが抱き上げた。
「車に乗ったら一時間位乗ったままだけど大丈夫?酔わない?」
抱き上げてるの彼か。耳元で声がした。
「酔わないですよ…」
呆れた様に返事をする。
ほんと変なところ優しいのやめてくれないか。
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作者名:月見だんご | 作成日時:2018年3月31日 23時