〃 ページ10
『後ろ…うん、誰もいないよ』
「撒けたようだな」
階段に人影がないことを確認して屋上の扉を閉める。
多少無理はあったけど上手くいったので結果オーライということで。
安心して昼食をとれる環境を整えさっそくパンにかじりつきたいところだが、まずは疲弊しきっている花京院を労わった。
『それで花京院、元気？』
「見ての通りだよ…なんであんなことになったんだ」
『この借りはいつか返すから』
意気消沈という言葉がピッタリの姿に励ましの言葉を贈る。ついでに優しさも。
あの場にいる全員の視線を向けられてたからね。耐性がないにしては本当によくやった方だよ。
逃げた私と比べればあら不思議、花京院がスーパーヒーローに！
意図を汲み取って屋上に走って行ってくれたし文句の付け所がない。
お礼はさくらんぼでいいかな。
仲間意識も合わさり暖かい目で花京院を見ていると、承太郎が純粋な疑問として聞いてきた。
「にしてもなんであんなまどろっこしい誘い方したんだ？
普通に声かけりゃあいい話だろ」
彼の言っていることに間違いはない、正論である。
だが正しいからこそ私の心を抉ってきた。
確かに承太郎の言う通りグイっと人をかき分けて「ご飯食べよう」の一言さえ言えればこんなにめんどうではなかったんだろう。
だけどそうならなかったのはたった一つの単純な答え、私にそこまでできるメンタルがなかったというだけだ。
『それが出来たらいいんだけど承太郎が私と初めて会ったとき言った言葉覚えてる？
「陰気くせえ野郎だな」だよ、そんな私が急にガツガツ行けるようにはならないって』
「……A、言い過ぎたとは思ってる。
だが今のお前は雰囲気がガラッと変わって明るい性格がしっくり来てるしそうなる過程で必要だったと思うぜ。だから悲観するほどではねえし昔のお前も今となっては新鮮で味があるというか…」
「いつになく饒舌だね承太郎」
自虐的に笑いをこぼすと承太郎が想像より反応していきなり私の性格について語り始める。
帽子を目深にかぶって表情はよくわからないが焦っているのが伝わってきた。
ベタ褒めじゃんか、花京院も普段見れない姿に笑みをこぼしている。
「とにかく、昔のお前も嫌いじゃあねえぜ」
『サンキュー！』
結論が出たらしい承太郎に親指を立てて返す。
二人との会話で口角が上がりっぱなしだ、今凄い楽しい。
学校生活の良さを噛み締めすぎて昼ご飯を食べ損ねたのはまた別の話。
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酸性雨の１つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (
レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の１つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います！ (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の１つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです！申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか！！ できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛸山葵 | 作成日時：2023年8月28日 23時
