番外編 メルシーポークゥー ページ49
場所はイタリアのちょうど空港を出た辺り。
必死こいて覚えた辿々しいイタリア語を頼りに、ヴェネチアやローマのコロッセオを巡るつもりだった。決して裏社会の人に目をつけられるようなことはしていない…はずだ。
なのに、なぜ私は路地裏で金髪のイタリア人に詰められているんだろう。
「名前を教えてもらえます?」
『えっと…』
「アジア人ですよね?国籍は?」
『に、日本国です』
「今回は観光でイタリアに?」
『えっとですね、その…』
胸元が開いている服の少年に壁ドンのような逃げ道がない姿勢で封じられる。
思い返して貰いたい。私のコミュニケーション能力は高くないことを。
向こうの方が絶対に年下なんだろうが成人したいい大人がタジタジだ。
迂闊に個人情報教えない方がいいかなとかごちゃごちゃ考え受け答えもままならない。
こんなんだったら日本を離れる前に花京院に外国で絡まれた時の対処法とか教えて貰うんだった。
遅すぎる後悔を私が襲う中、少年がめんどくさいと言わんばかりの態度で言う。
「じゃあ単刀直入にききますね、足元に見える“それ”はスタンドですか?」
『!…見えるの?』
攻撃するかどうか迷っていてナーヴは出したまま。思いもよらぬ展開に目を見開かせる。
しかし少年は私がスタンド使いだと知るや否や、ドスの聞いた声で言い放った。
「日本人らしいですが目的はパッショーネの壊滅…なんて言いませんよね」
『ぱっ、しょね…情熱がどうかした?』
「シラを切るならそこまでですよ」
少年はどんどん話を進めていくが私は何もわからぬまま手を右に左にとウロウロさせる。
「壊滅」ということはパショーネは組織とか会社の名前だったりするのかな。
少年と対照的にゆっくりと思考を進めていると、おもむろに彼がスタンドを出した。
「埒があきませんね」
『まっ、ちょっ…敵意はない!
だからお願い、一旦スタンドをしまって‼』
「なら何故イタリアに来たのかだけ聞かせてもらえます?」
『ッそれは…』
パワーがありそうなスタンドにビビりちらして怖さから目を閉じながらだが抗議する。
このまま戦闘になっても徳にならないはずだ。動機を言うのに躊躇いはあるが仕方ない。
『人探し…昔の仲間なんだけど消息不明で。
そうだ、もしもだけど知らない?
“ジャン・P・ポルナレフ”って名前のフランス人』
「……ポルナレフさん?」
意味ありげに少年が呟いたのを、私は聞き逃さなかった。
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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時