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『______ッ』
楽しい。
水族館を一通り見終わり出口前の土産屋、この状況が終わりを告げるのもそう遠くないだろう。
花京院には申し訳ないが生水族館を堪能した私は奇妙な程に口角が上がりっぱなしだった。
冷静になるために外で承太郎を待たせているが未だ興奮は収まりそうにない。もういいか、それで。
二、三回深呼吸してから土産屋を出てつまらなさそうに立っている彼に声をかける。
『ゴメン、待った?』
「ああ」
『そっか。あ、ちょっと待って』
待たせすぎてしまったのか不満がひしひしと感じられるよう。
さっさと出口へ歩き始めようとする承太郎だが、呼び止めて振り返ったところに簡易的に包装されている“あるもの”を差し出した。
『はい、これ』
「……ヒトデ?」
『記念にと思ってお土産買ったんだ。……お揃いの奴』
不思議そうな顔をして包装を破き中に入っていた手のひらサイズのキーホルダーを見つめる。
思い出を形に残したいと考えてさっきのお店で買ったが、もう一つ口に出すのが憚れる理由として「友達とお揃いの物を持ちたかった」というのがあった。
実は承太郎に渡したキーホルダーはヒトデ以外にチンアナゴやイルカなど様々な種類がある。
だから同じシリーズのキーホルダーの違う海洋生物なら気づかれづらくお揃いにできるんじゃあないかと邪な考えを思いついてしまったのだ。
「なんでヒトデなんだ?」
『スゴい単純なんだけどジョースター家の血筋にスタープラチナ、それに首筋に星形の痣があるでしょ?ヒトデの英名はスターフィッシュだから打ってつけかなって。
そして私のはダイオウグソクムシ!』
「だろうな」
承太郎と星は強い繋がりで結ばれている気がしたから直感で選んでしまった。
じっと目を細めてキーホルダーを見続ける承太郎は嫌な顔をするどころか気に入ったっぽい様子だ。段々承太郎の表情や感情が読めるようになってきた気がする。
『ちなみに花京院のマスコットはリュウグウノツカイにしたんだけど…』
マスコットを手にしている彼にポツリと話しかける。
花京院の好きな海洋生物が何か把握していなかったし予想もつかなかったので、気に入ってもらえるかどうかの不安から出た言葉だったがそれを聞いて承太郎が笑みを溢した。
「それ、ヒレだけで決めてるだろ」
『…バレた?』
承太郎は笑いながらそう言うが、あの赤いひらひらを見て花京院を思い浮かべるのは不可抗力だと思う。
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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時