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『ここは…!』



右を見ればジンベエザメが横を通り、左を見ればクマノミやイソギンチャクが華々しく水流に揺られる。

海洋生物が好きな私にとって眼前に広がる光景は夢のようなものだった。



「最近出来た水族館だ、行きたがってたろ」


『そう!だけどなんで…』


「横でメソメソされるよりマシだと思っただけだ」



口ではそういうが単純に喜ばせてくれたことに純粋な優しさを感じる。
しかも、会話でポロッと溢した事を覚えてくれていただけでテンションは爆上がりだ。

花京院には後日謝罪するとして楽しんでしまっていいのだろうか。



「ン」


『うん!』




葛藤があったものの承太郎に背中を押され、頷いてから近くにあった水槽にスススと近づく。

外出なんてそんなに多くなかった、その上友達となんてもっての外。
図鑑とは違い生き生きと水中を泳ぐ魚がとても煌びやかに映った。



『ホウセキキントキ…こっちはスズキ』



残念ながらこの水族館でダイオウグソクムシの展示はしていないが、記憶にある中で初の水族館の来訪に気分は勝手に上がる。

幼い子供のように水槽に張り付いて魚を指差して名前を呟いていく。
ルビーを思わせる色合いだから“ホウセ”キントキとはよく言ったものだ。



『これはネコザメ、その横のはハナミノカサゴ。
マアジに…シロギス、ハコフグまでいる!

そしてこっちが…』



夢中になって知識をフル活用しながらただただ水槽に齧りつく。
もう何匹目の魚かかわからないくらいになってきたとき、承太郎が私と同じ魚を指した。



「チカメキントキ、だろ?」



思いもよらない言動と行動に喜びと動揺が混ざって、目を見開かせたまま固まる。

慌てて指先に視線を戻せば彼の言っていた通りの魚が悠々と泳ぎ去っていった。
承太郎は元々魚についてそんなに詳しくないから偶然じゃあない。


もしかして…と淡い期待を胸に再び水槽に向き合う。




『こっちはウルメイワシ』


「これはガンゾウビラメ」


『その奥のはカラスガレイ』


「そっちのがケンサキイカ、だな」



直接言葉を交わさなくても弾む会話に目を輝かせながらそれを続けた。
そして極めつけと言わんばかりに声をあげる。



『それであの小さめの魚が』


「『ホンソメワケベラ』」



重なる声に視線を隣へやると承太郎と目が合う。

図鑑を読んでいてくれたことがどうしようもなく嬉しい。
ただでさえテンションが上がっていたこともあり、声を出して笑ってしまった。

〃→←海の星



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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時

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