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…………。
覚悟を決めたはいいが出鼻を完全にくじかれた私に、笑いをこらえているっぽい花京院。
渾身の「あの」が封じ込められ行き場のない強めの意思を宙ぶらりんにする。
どう動けばいいのか分からず呆然と彼を見つめていると笑みをかくそうともせず告げた。
「ごめん、どうやら君がツボみたいで」
『それは構わないんだけど…。
ちょっと調子が狂うというか』
別に私は楽しそうに口角を上げる花京院に異論があるどころか、大賛成な上にもっとギアをあげてもらっても全然許容範囲だ。
けれど緊張してるタイミングでツボに入られると気が抜ける。
純粋に疑問なんだが私のどの要素がツボに入るのだろうか。
いっそのこと整体師にでもなってしまおうか。
複雑な感情を体のなかでうごめかせる。
『それで、どこがそんなに可笑しかった?』
「いや、見慣れなくて。そんな分かりやすく気を張ってるところ。
なんならDIOの館に突入するときより緊張してるんじゃあないか?」
『……冗談』
吸血鬼の館に飛び込む際よりも花京院の過去を引き出そうとする方が緊張するだって?まさか。
例え百人に吸血鬼と戦うか知り合いの過去を引き出すか、どっちがマシだと聞いたとき全員が全員後者だと即答するね。
しかし花京院の言っていることもあながち間違ってはいない。
元々コミュニケーションが得意でない上に嫌われたらなんて考えが実行までの道を阻む。
今までこんな赤裸々に話せる人間なんて近くにいなかった事実も緊張に拍車をかけていた。
『あの時はジョースターさん達がいたからでしょ』
「そっか。それで、良ければ緊張の理由を教えてくれたら嬉しいんだが」
少々気まずい質問にピタッと動きを止める。まずい、非常にまずい。
もし承太郎が誰かと付き合ったなら諸々の事情が気になり問いただしたくなるのは当然のこと。
ならいつもより変な私を見て何故そうなったのか聴きたくなるのも当たり前のこと。
数年間着古しているスウェットのゴム並みに緩められた決意はもう役に立たない。
腹も括れてない、覚悟も決まっていない状態で花京院の過去に踏み込むなんて縄と台を持って樹海に行くこととほぼ同義。
当たって砕けろ?砕けた後の事も考えろ。
誤魔化すにしても花京院に勝てる未来なんて闇の中。
『…っ花京院は、前の学校でどんな感じだったの?』
果てのない思考をさ迷いショート寸前、知らず知らずの内にそんな言葉がたまをついて出ていた。
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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時