【ジョジョ】スタンド使いと遅めの青春

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ぶつぶつと続く承太郎への怨恨から出る呪いじみた愚痴。
“あいつら”なので恐らく花京院も入っているんだろう。

鏑木の目は完全に据わっている。
ここまでの怒り…もしかして。


一見無関係に思える私の瞳と二人だが前に似た話をしたことが頭をよぎった。
心当たりが出てきて不安げに彼に視線をやると、鏑木が私の目元を力一杯掴んだ。



『！』


「違う、違う違う違う違う違う違う違う違う。こんなの“０”じゃあない。
０は人と深く関わらない、０はそんな楽しそうに笑わない、０はそんなに明るくない。

０は…Aは希望でこんなに瞳を輝かせない！」



半ば逆切れみたいな状態で怒気を含め大声で捲し立てる。
分かりやすく言うと“解釈違い”って奴だ。

好きだった俳優がアイドルみたいな売り出し方を始めてブチ切れる心理と同じようなものなんだろう。昔の方が百倍好きだった、的な。


私があからさまに変わったのは学校を五十日休んでから。
そして同時に変わったことと言えば私と承太郎と花京院の関係。



『私を０に戻したいから、二人と関わるなってこと？』



その二つを頭の中で結び付けて「私が変わったのは花京院とJOJOのせい」と脳内変換したと見た。
間違ってはいない、だが変化に対する鏑木の印象の受け方が私にとって“解釈違い”だ。



「勿論、過去の君は唯一無二だった。
どこか一線を画す美しさを持ち合わせて神秘さすら感じられた。

なのに今のAと言ったら瞳の中に不純物が入り混じってる！
こんなの…こんなのただの有象無象の学生だ!!」


『……一つ、言わせてもらうけど』



今回の話の核心をつこうと疑問を投げるとあっさりと肯定の言葉が出てくる。
相変わらず鏑木は個人の思想が強い。人に理想を押し付けて矯正までしようなんて。

得も言われぬ不快感が心の中で引っ掛かり違うと言われたこの瞳で鏑木を射貫いた。



『自ら不幸になりにいく人間がいると思う？』


「その目ッ！」



余計彼を煽ったのか、跡が残りそうなほどスタンドの拘束する力が強まる。
怒りを覚えるくらい徹底的に嫌っているらしい。目元におかれた手が放された。

呆れなのか物分かりの悪さから出てくる怒りなのか。
後者なら私は一生鏑木を腹立たせる原因になるだろう。


鏑木にどれだけ否定されようと反感を買おうと絶対に折れない自身がある。
だって、花京院に好きだと言われた瞳だから。

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