一か月と二十日 ページ3
いつも通っていた通学路を約五十日ぶりに歩く。
見飽きたと思っていた景色も案外面白いものだったんだな。
日本の地面を、空気を噛みしめながら登校する。
さて、ホリィさんが元気になり一人も犠牲を出さずにDIOを倒せたわけだ。
これ以上にないハッピーエンドだと思う、奇跡的だと思う。
だけれどこれ以上にないくらい私の胃は痛みを発していた。
理由は五十日ぶりの学校で呼び出しをくらってるからかな。
『うわぁ…』
どう転んでも無断で一か月以上休んだことについて言及される未来しか見えない。
重い足取りで学校前の石段を降りる。今までにないくらい憂鬱だ。
「『あ』」
言い訳を考えとかなきゃな、と考えていると後ろからやってきた花京院と目が合った。
同じことについて考えているのか表情が暗い。三人一斉に呼び出されてるもんな。
花京院の場合目元にクマもついている。
『言い訳考えてる?』
「全くだよ、いざというときは承太郎に頼るしか…」
『花京院の場合転校初日でだもんね、そりゃ大問題よ』
いやこの場合どれだけ成績が良くて人望が厚くても呼び出しはくらう。
こういうのってSPW財団とかジョースターさんが事前に説明しててくれるものじゃないのか?
まぁ不動産王とか世界有数の大富豪から連絡来るのもなかなかに奇妙だが。
『そういえば保健室の先生どうなったんだろう』
学校についての最後の記憶が運ばれる花京院だったので、そこから連想されて何気なく口に出した。
「あっ、いや言い訳するつもりはないが本当に申し訳ないと思ってる!
操られていたとはいえ犠牲者を二人出したのは事実なんだし許されないのは理解している!!」
…そういえばあの時花京院操られてたな。
『あっ、いやこっちも責めようとかじゃなくて無意識で!
いや無意識じゃないんだけど発言が迂闊だった!!ゴメン!!』
自分のしでかしたことから自責の念に駆られ始めた花京院に、今しでかした過ちに気づいて必死にフォローをいれようとする私。
だが上手く言葉が出てこずに両手をウロウロさせる。
いやあの時の花京院は肉の芽が入ってたから花京院であって花京院でないというかそれに伴って花京院が悪いと聞かれたら違くて…ねえ。
ヘタな発言により少し沈黙が続く。
『まぁ、終わりよければ全て良しだから!』
無理やりそう結論付けて、とりあえず気まずい空気を変えようとした。
大丈夫!花京院なら充分挽回できてるから!!
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時