おつかれさまでした ページ15
夕食を食べて、宿題をして歯磨きをしてベッドに飛び込む。
エジプトから帰ってきた日は様々なことを問い詰められたが、案外一日経てば何もなかったかのように原状復帰できるらしい。
母親は極度の面倒くさがり屋だが、娘が一向に帰ってこなかったんだからもう少し変化があってもいいと思う。言い訳とかはしなくていいがすんなり受け入れられないのは人間の難しいところ。
学校生活が落ち着いて心の余裕が出てきたから全身で自室を感じられる。
やっぱり自分のベッドは落ち着く。誰にも邪魔されずに一人の世界に浸れるから。
近くにあるぬいぐるみを手に取ってから仰向けになり身体の力を抜いた。
特筆する点もないけど寝具が青で統一されているので静かな深海に沈んでいるようで心地よい。
『帰ってきたんだなあ…』
天井をボーっと見つめてしみじみと呟く。
帰ってきたとは言っていたが五十日前と全く同じ光景に改めて実感が湧いてきた。
こう考えてみると全部が全部嘘みたいだ、ジョースターさん達と過ごした全部が。
自分には他の人にはない特別な力があって、同級生のお母さんの命を助けるために吸血鬼を倒そうと命を懸けてエジプトまで五十日の旅をする。
聞けば聞くほど小説のストーリーみたいに現実味のない話だ。
『ナーヴ』
ずっと横になっていたのでじわじわと侵食してくる眠気につられて、眠惚け声でスタンドの名前を呼ぶ。あの出来事は夢だった、なんてことはなくしっかりと枕元に現れた。
私はこの子がいたから周りと距離を感じてしまった、けれどこの子がいなかったら承太郎達と出会えなかった。
スタンドを持たずに平凡に生きる道と今、どっちが幸せなんだろう。
もしみんなみたいに暮らせていたら、スタンド能力なんてなかったら。
考えても意味のない“たられば”が頭の中に浮かんでは消えていく。
『…そんな悲しそうな顔するなって』
気づけばナーヴが視界の端で心なしか寂しそうにしている。
自立型スタンドというわけではないが私の気持ちを感じ取ってリアクションできるほどの意思はあるらしい。
よく考えればさっきの私は犬の前で捨てるかどうかの相談をしている虐待野郎と行動が同じ。
動物も人間が思っている数倍賢い。不安にさせるなんて言語道断、動物愛護団体に訴えられちゃう。
大丈夫、ナーヴにはちゃんと価値がある。
『おやすみ』
安心させるようにそう告げて、ぎゅっとダイオウグソクムシのぬいぐるみを抱きしめた。
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酸性雨の１つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (
レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の１つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います！ (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の１つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです！申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか！！ できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛸山葵 | 作成日時：2023年8月28日 23時
