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たまに目が死んでたときがあったからな、実際「全部どうでもいいやい!」みたいなメンタルの日もあったから何も言えない。目の前の花京院に否定も肯定せずじっと見つめる。
色々、あったからなぁ。
「そ、それに柳本さんに絡んでた不良が数日学校に来なくなったりとかしてたらしいし…花京院君が心配で」
女生徒が続けて花京院にそう伝えた。
勝手に聞いている分際でだけど昔の私は黒歴史だからあんま掘り下げないで欲しい。
不良に絡まれたことはあるけど数相手が数日休んだことあったっけ、覚えてないや。
苦い思い出をミルクと砂糖を足して薄めながら振り返る。
「……あの」
「うん!」
彼女の期待した声で意識を戻して視線を上げると花京院の目の色が変わっていた。
どうしたんだろう、困ったような笑みもスッと消えて真っ直ぐ女生徒を射抜いている。
「周りからどう映ってようとどう捉えられていようと、僕は好きで承太郎とAと関わってるからそんなに心配してもらわなくても大丈夫だよ」
自分の人間関係は自分で決める、と。
この場で直接自分の悪評を聞いてしまった私に遠慮したのか、それとも心からまろびでた本音なのか知る由もない。
けれど私にとって花京院の対応は蜜のように甘いものだった。
スマートな対応に思わず目が合わせられない。照れる。
「キャッ」とか動きでわかる初な反応をとっていると、女生徒が渋々納得する素振りを見せた。
「花京院君がいいなら、だけど…けど危ない人には気を付けてね!」
「君こそ最近何かと物騒だから気を付けてね」
花京院がにこやかに手を振って見送る。ようやく話は終わったらしい。
慎重に廊下や周りを見てみるがもう彼女の姿は消えていた。
緊張の糸が切れたのか大きなため息が口から溢れる。
状況が一段落したところで、花京院が私に話しかけた。
「A…会話中にあれはやらないでくれないか。
彼女の表情がハシビロコウが動く瞬間を見たときのそれだったよ」
『花京院の笑い声ちょっと変わってるからね。
けど私は動かないハシビロコウも活発なハシビロコウもどっちも好きだよ?』
「そう言ってくれるのは嬉しいけど今度からは人の会話に無闇矢鱈に入らないこと、わかった?」
『心に刻んでおく』
私の話題になるなんて思いもしなかったからな。
他人行儀な花京院からのいつもの態度に安心感を覚えつつ、緩やかにいつもの調子で会話を始めた。
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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時