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「か、花京院君?大丈夫?」
「う、うん。少し思い出し笑いをしてしまって。
大した事じゃあないからどうぞ続けて」
「そう?ならいいんだけど…。
あ、それでえっと花京院君に聞きたいことがあって」
真顔でやると花京院から笑いが出てくる。やった、なんかウケた。
潜水艦の中で二人がやってるの見て一度使ってみたかったんだが使いどころがなくて。
私、女生徒、花京院の配置なので物音さえ立てなければ一方的に花京院を笑わせることができるこの立ち位置。追加でなにかやってやりたいが生憎持ちネタがこれ以外にない。
だが既に花京院はハンドシグナルでツボに入ったようで笑いを我慢しながら話を聞いている。
声が震えているが幸いなことに女生徒は気づいていないようだ。…なんだこの状況。
「えっと…あ、ゴメンさっきからえっとえっとうるさいんだと思うんだけど柳本さんとどういう関係なのかなって思って」
折角なので他に何か動きをつけれるものがないかと考えていると、耳に入ったのは私の苗字だった。
驚いて自分を指さす。花京院の目線も私に向いているがまだ結論を出すのは早い。
ないない、と意味を込めて首を横に振る。柳本なんて苗字全国に一万人ぐらいいるし別人よ。
「念のため下の名前を聞いていいかい?」
「うん、柳本Aさん」
え?私?確定した驚きから再び自分を指さした。
わざわざ二人きりの状況を作り出すなんて手間なことしても、そんな濃くて濃密な関係ではないし人に言えないような関係でもないから大したは返ってこないよ?
退出するなんて選択肢はとっくに忘れ不思議に思いながら会話に耳を傾ける。
「関係と言っても君が想像しているようなものではないさ。
それで僕からも一ついいかな、どうしてそんなこと聞いたんだい?」
「…………あ、の」
一応聞き耳を立てているというか聞いている立場なので、物音を立てないように机から距離をとった。
花京院の答えに頷くと同時に、言葉に詰まっている女生徒に引っかかる。
彼女は私を知っているみたいだが以前は目立った行動はしてないはずなんだけどな。
腕を組んで首を傾げていると、女生徒がおずおずと言った。
「やな、もとさんは悪い人じゃあないんだけどなんていうか…たまに怖くて。
目がね、何も映ってない時があるの。私達なんてどうでもいいみたいな目。
変わったことはしないんだけど私はずっとそれが苦手で」
どうやらこの女生徒は結構目聡いらしい。
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酸性雨の1つ(プロフ) - 蛸山葵さん» いえいえ、、貴方こそが神なのです。崇め讃えます。 (2月3日 21時) (レス) id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 酸性雨の1つさん» まさか私の知らぬ間に降臨していたとは……。神の名に恥じぬよう頑張りたいと思います! (2月3日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
酸性雨の1つ(プロフ) - 、、、神が此処にいますね存在してますね (2月3日 11時) (レス) @page50 id: f35602649d (このIDを非表示/違反報告)
蛸山葵(プロフ) - 憂さん» 「続きが見たい」と言ってくれてとても嬉しいです!申し訳ありませんが変にダラダラと続けるよりは今区切っておきたいと思いまして…。まだ拙い文ですが読んでくださりありがとうございました。 (11月7日 21時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - お、、終わっちゃうんですか!! できることなら続きが見たいです 間違いであってくれぇ〜 (11月7日 0時) (レス) @page50 id: fbaa8ffb84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛸山葵 | 作成日時:2023年8月28日 23時