帰ってきて ページ11
「初兎くんは...ずっと、Aのことが好きだったんだよ...！」
由菜は吐き捨てるようにそう言い残して、その場を後にした。
人が死のうとしてるところを邪魔しておいて、初兎のことをグダグダ話して、由菜は何がしたかったんだろう？
私は暫くその場に立ち尽くした後、ふと我に返って足を進めようとした。
後ろに誰かが立っている気配がする。
私は後ろを振り返らずに、ポツリと一言だけ呟いた。
『...ありがとう。』
私はその一言だけ言って、家に向かって歩き出した。
どこまで歩いても、後ろに誰かが立っている気配は消えなかった。
ずっと着いてくるってことは初兎じゃない。誰？不審者...？
怖気付いて、歩くスピードを速めた。
すると、私の歩くスピードに合わせるように、後ろの気配も着いてくる。
...怖い。お願い、誰か助けて。
『助けて、初兎...っ。』
小声でそう言うと同時に、その場に踞った。
それから数分が経ったであろう頃、いつの間にか後ろの気配は消えていた。
私はゆっくりと立ち上がって、後ろを見た。
けど、そこには誰もいなくて、夕日が私を照らすだけだった。
初兎に助けを求めた。初兎は、それに応えてくれた...？
なんで私は初兎に助けを求めたんだろう？
『...帰ろう。』
私は夕日に背を向けて、家に向かって再び歩き出した。
家に着くと、静かに玄関のドアを開ける。
『ただいま。』
「おかえり〜。」
普段と変わらない様子でお母さんが迎えてくれた。
靴がないから、初兎のお母さんはもう帰ったのだろう。
「こんな時間まで何しに行ってたの？」
お母さんが表情を曇らせて言った。
恐らく、初兎の件もあるし、心配なんだろう。
『.....初兎に、お礼を言いに行っただけ。』
私はそれだけ言うと、自分の部屋に閉じこもった。
やっぱり、なにか忘れている気がする。
思い出そうとしても、思い出せない。
ううん、思い出さないほうがいい気がする。
私はベッドに寝転がり、ボーッと天井を見つめた。
このまま消えてしまえたらいいのに。
『帰ってきてよ、初兎。』
ボソッと呟いた言葉は、誰にも届くことなく消えていった。
私は感情を誤魔化すように、側にあった兎のぬいぐるみを抱き締めた。
初兎がいないと、何をしても楽しくないよ。
大嫌いだけど、帰ってきて。
私はぬいぐるみに縋るようにして、抱き締める力を強めた。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
