弓折れ、矢尽きる【ツルネ】Ⅰ (ページ1)

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プロローグページ1

　
　
今思えば…すべては、あの日から始まった。

── “ カァンッ！！ ”

それは、とても綺麗な弦音。

思わず見とれてしまうような、美しい会。

「……かっこいい…」

思わず、そうこぼしてしまうほどに

美しい射だった。

そんな、かっこいいその人は＿＿＿＿＿。

あの日から…
私の “憧れ” になった＿＿＿。

…でも、『弓折れ、矢尽きる』──そんな言葉があるように

私の…あの頃の輝いていた弓道に対する “心” は折れ、

弓を引きたいという純粋で、まっすぐな “想い” は尽きてしまった。

＿＿あの日(・・・)を境に、すべてが変わったのだ。

─弓を置き、人と距離を置いた。

─自分の気持ちに蓋をした。

─あまり笑うことがなくなった。

元気ハツラツな明るいヤンチャ娘はもういない。

そんな面影は一切なくなり、感情を出さない人となった。

そしていつの間にか、“感情”の“仮面”をかぶるように…

貼り付けた笑みを浮かべるようになっていた＿＿＿。

そして私は──…、

＿＿＿＿＿＿＿弓を引く“意味”を見失った。