16 見張り ページ16
ニューヨークのひとつ下、ペンシルバニアとニュージャーシーに位置するパワーアローの住宅街に向かった。住宅街はまだ新しいのか最新型独特の光沢をひとつひとつの家が放っている。
青く光る銀白色のガラスボックスの家には、驚嘆せざるを得ない。喉に空気が通らなくなる。古代からある木と草という存在に目を泳がせて、自分は自分達の次元に引き戻す。胸の中で、動悸と安堵が混ざり合う。
昨日見た奴等の住所は大体パワーアロー、ここで揃っていた。待っていれば、奴等は絶対に動き出す。俺とキャロル、ビアンカとジェームズの二手に分かれて若者を見張る。
コンビニでいつものようにハンバーガーとコーヒーを購入し、車内で朝食をキャロルと食べている。キャロルはチーズバーガーと微糖コーヒーで、俺はフィッシュバーガーとブラックコーヒーをチョイスした。相変わらずの食事だが、嫌気が刺してこないのが不思議だ。
道路の傍らにある専用駐車場に留めてあるが、午前９時も半ばになると人が多くなってくる。公園の近くに車と停めたが、人の目も多くなってきて、フィッシュバーガーにぱくつく運転手を見てヒソヒソと話す貴婦人がいるのではないか、と不安になってしまう。
アイフォンを凝視したり、犬の散歩をしたり、ランニングをしているセーターとコートに身を包む若者も大事だが、買い物鞄を持って歩く貴婦人も気になってしまい、視線がなかなか定まらない。
「やっぱりここはさすがに目立ちすぎたか……？」
助手席に座っているキャロルが、そんな俺を見て
「心配ないわ。行動している人は、一瞬で通り過ぎていくものよ。車の中なんてそう誰も見ないものよ。ラジオでも点けましょうか」
キャロルは、ハンバーガーを片手にラジオのボタンを押した。ピアノとヴァイオリンが長音を響かせる、朝の優雅なクラシックが聞こえてくる。もう何十年も昔のポンコツ車だが、電波の良い所ではこんな音を出すのか。耳に入れながらも、焦りを覚える。
「キャロル。今、見張りをしてるんだぞ。気持ちは嬉しいが……」
「見張りをしてるなら、余計な人にまできょろきょろしないで。大丈夫よ。
背中にシートをつけて。力を抜いて。余計に怪しまれるわ」
最もだ……。俺は、あちこちを注視しながら、キャロルの言う通りにする。ゆっくりと、背中にシートをつけていく。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (
レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)／あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました！このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇｀*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…！！あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます！！！！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2014年8月7日 15時
