【第3章】 15 お前達を先に迎えに行くよ ページ15
キャロルは息を吐き切った後、冷静を装い、
「やっぱり、あの家では何かあったのね。硫黄を使ってたもの。殺し合いに近い争いがリゼの家で行われていたんだわ……」
ビアンカは、回って来た個人情報に目を通して俺達が考えていることを言う。
「コイツ等、グルとしか考えられねーな。同じ犯罪を幾つも幾つも。麻薬の密輸がほとんどだが、ベビーシッターの件もちょっと転がってるか。強盗、万引き、高校生の時なんか、人質をとって立て篭り……馬鹿が考えそうなネタばかりだぜ」
「年齢は高校生の時か。数週間で出られるじゃねーの」
「大学生になった今は、釈放金がマーサって言う奴から出てる」
マーサとは一体何者なんだ――?
俺の頭の中にひとつの疑問が浮かび上がる。ただ、マーサ・Jとしか書かれておらず、その人物のコピー用紙は一切なかった。名前しか情報がない。俺はキャロルに尋ねる。
「なあ、マーサの情報はねーのか?」
「市役所の人に頼んでも、出してくれないのよ」
「は? 保釈金が出てるのに何で……」
「分からない。ただ無理ですって断られたわ」
どうしてだ? 俺は頭を掻く。ジェームズが足を組んで、マーサって言う奴が一番怪しいな、と小さく言う。それに俺達は賛同し、名簿を一通り見てキャロルに返す。それをキャロルはひとつにまとめて、再び封筒に入れた。
ビアンカは立ち上がって、出入り口にあるスイッチを押して換気扇を回した。そして自分の鞄の中から煙草を取り出して、ジッポーを回して火をつけた。ニコチンが切れたのだろう。煙草の数はチェンジしだしてから多少減ったが、仕事のストレスか中々辞められないようだ。
「あー、もう。むしゃくしゃするよ。こういう複雑な依頼はっ」
「まぁ待て」俺は話しかける。
「ブロッサムだけ問い詰めればエバンは出て来るはずだ。
さっきもそれらしき女はいたじゃねーか。本名はコニー・バックリー。ブロンドに青い目。住所も分かった。ちゃんとした顔もだ。
それに、奴等の住んでいる所はだいたい類似しているんだ。街で張り込んでたら、絶対に姿を現す」
その後、ジェームズも煙草を吸い、暫くふかしてから、深妙に言った。
「……硫黄事件で死んでなければな」
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時