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そもそも今日の予定としては茜が内勤、竜一は保護ビジネス契約の更新周りと周知してあった筈なのだ。
赤子の時より比較的手の掛からなかった双子だが、幾許か成長し更に拍車が掛かった為、夫妻の片方が本部に残り、片方が夜勤やら外勤やらを担当するのがここ数ヶ月の流れ。
これまでもやむを得ず夫妻を何方も任務で外に出す事はあったが、その際は育児隊を臨時結成するなどで手を打っていた。しかし、最近は大人数で面倒を見る必要がなくなり、先述のようにしていたのである。
けれど揃って外に出る際は事前に小笠原に知らせが来るし、そもそも指示するのは上司たる彼だ。しかしまぁ、現状の通りで。
「茜、戻り時間は云ってたか」
「いえ、何も。夏也君が云った通り、竜一さんと帰社するとだけ」
「……マジかよ。竜一が今居るの隣県だぞ……」
「流石茜姐さん……」
大人二人が頭を抱える間、隙あらばと手を繋いでる幼子達は幼子達で話し合っていた。
よく喋るのは変わらず叶夜。理解力の高さは夏也に軍配が上がる。双子でバランスよくやっている、と見るべきか楽してる疑惑を持ち出すべきか。
「まま、ぱぱとかえってくる？」
「くるっていってた」
双子は独自の言語を編み出してしまうと云う。それにより言語発達が遅れる、と云われているのも当然小笠原も知っていた。それ故なのか、性格なのか。
判断に困るのは確かだが、少なくとも現時点で言語発達の遅れは見られない。それどころかこの年齢にしてはよく喋る方だろう。
「なつとおーすばん？」
「うん」
「そっかぁ」
ニコニコ。
両親不在を知ったにも関わらず表情は一つも翳らない。帰ってくる、そう信じて疑わないのかその真意にまで辿り着いて居ないのか。
下手すればお花畑が見えそうな雰囲気に小笠原が思うのは“逞しく育ってんな”に尽きる。夜泣きはともかく、両親が居なくて愚図る事が無いのは面倒見てる側としては有り難いのだが。
「おい、叶夜、夏也。茜と竜一が帰ってくるまでどうする？ まァ、俺か徳富か……鴎外か」
指折り数えながら尋ねれば双子は顔を見合わせ、控え目に小笠原の服を引いた。ワシャワシャと髪を混ぜてやると双子がふにゃりと笑う。
「まっ、そうなりますよね。小笠原さん、事務処理引き受けます」
「悪いな。手当は付けろよ？」
「当然です！ 叶夜ちゃん、夏也君、また遊んでねー！」
バイバイ、と手を振る二人を抱えて小笠原は帰宅後の段取りに思いを馳せるのであった。
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作者名：みゃあ | 作成日時：2018年1月15日 21時
