BALL30 ページ31
｢ついたー！｣とバスを降りる。
この辺ではそこそこ大きいショッピングモール。
土日ということもあり、たくさんの人達で賑わっている。
取り敢えず中に入り、どこのお店に行くかを決めるために地図を見た。
1年前までは友達と頻繁に来ていたが、もうだいぶ前の話だ。
お店も随分変わっている。
三人が共通で見たいというのはスポセン、あとは小湊要望の本屋と、倉持要望のゲーセンだ。
Aは、自分の服が見れればいい。
｢じゃまずスポーツショップね。｣と言って、二階に向かった。
・
男ということもあり、店の中に入ると、Aを置いて すぐさま自分の好きな方面へと行ってしまった。
｢…｣と頬をふくらませて、腹を立てる。
Aがここにいてもそんなに面白いことは無いし、｢折角ならみんなの回ってこー｣と歩く。
まず最初に見えたのは、小湊。
守備兼バッティング用のグローブ手袋が欲しいらしく、大きな棚を見上げて悩んでいる。
｢春市。｣と声をかけると、こちらを向いてにこっとしてくれた。
｢グローブ手袋。｣
｢はい。今まで使ってきたのがだいぶボロボロになってきちゃってて。｣
｢何色買うの？｣
｢ずっと兄貴と同じ物を買ってたんですけど…どれだったかな…。｣
｢…じゃ私が選んであげよっか。好きなメーカーは？｣
｢えぇっと…無難なmizuno…？｣
｢んー…春市はカッコ可愛いから、赤と青 両方入ってるこれ！｣
｢…っ大事にします…！｣
｢え、ほんとにそれでいいの？！笑｣
｢A先輩が選んでくれたし、なんかこれなら打てそうです。｣
そう言って、兄譲りの爽やかな笑みで答える春市。
相変わらずこの兄弟の顔面偏差値は底知れている。
本当に彼は伊達男…いや、春男らしい。
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