Crown【短編集】

推しと彼氏：天月 ページ18

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　スマホを見てにやにやするAに何見てるのって声をかけた。まあ、予想はついてるんだけど。

　「んー、そらるさん。」

　「そらるさん？」

　スマホを覗けばそらるさんのゲーム画面。あー、インク塗るやつね。それ好きだね。

　「あ、舌打ち…好き…。」

　舌打ちはファンサは何言ってるかわかんないわ。コメントにも同じようなことがたくさん書かれてて、ちょっとそらるさんのファンがわからない。

　俺の彼女は俺と付き合う前からそらるさんのファンでライブはもちろん握手会にだって参加したことがあるらしい。部屋にもグッズが沢山ある。

　俺と出会ったのは共通の友人の紹介で、そのときからそらるさんが好きだってことは聞いてたけどやっぱり何回聞いても気に入らないのは事実。


　「…そらるさんかぁ。」

　「んー、どしたの。」

　「そらるさんのこと、ホントに好きだよね。」

　もちろん、ファン目線だってことは分かってるけど、やっぱり気になる。

　「何、嫉妬ですか？かわいい。」

　「かわいくないから。」

　「好きだよ、天月くん。」

　さっきまで見ていたスマホは机の上に伏せられてAの顔が近付いた。腕を伸ばしてAをぎゅっと抱きしめる。首元に顔をうずめてそのまま喋る。くすぐったいなんて、今日はそんなの知らない。

　「俺も好きだよ。」

　「…そこで話すのずるいってば。」

　少し顔を上げれば真っ赤になったAが見えて少しの優越感。まあ、今日はこのくらいで許してあげようかな。



　画面越しの推しと彼氏。

お隣さん：まふまふ→←ゲーム三昧：となりの坂田。

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