Crown【短編集】

ポジション：となりの坂田。 ページ13

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　正直、俺のポジションは羨ましがられることが多い。

　他部署で働く幼馴染のAは、会社の同期とか先輩とかみんな名前を知っとるくらい仕事ができるのに、それを鼻にかけやんし、スタイルもいい。学生時代も多くの人に告白されとった。

　そんなAと幼馴染ってだけで、話してるから廊下とかでよく睨まれる。俺としては少し優越感。幼馴染ってだけやけど。

　「坂田？」

　「あ、うん？」

　パソコンと睨めっこしとる俺に声をかけてきたんはちょうど考えとったA。あぁほらまた、Aの同期が俺のことを射殺せるんちゃうかってくらい鋭い目つきで見てくる。

　「今日、定時で上がれる？」

　「上がれると思うけど。どないかした？」

　一応、会社では先輩にあたるわけで、最初は敬語で話しとったけど最近ではついついいつもと同じように話してまう。Aも何も言わんから甘えとる部分もあるんやけど。

　「一緒に帰らない？実家から野菜、送られてきたんだけど１人じゃ食べきれなくて。」

　おばさん、Aのお母さんは家庭菜園が好きで、昔っから俺の家にもよく届けてくれてた。社会人となった今ではときたま１人暮らしのAの家に野菜が届く。

　「おばさんの野菜ならよろこんで。仕事終わったら入り口んとこでええ？」

　「うん、ありがと。」

　そろそろ俺は、会社の男たちから目線で殺されるんちゃうやろか。振り向いたらあかんって本能が言うとる。

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