解体できない代物 【松田陣平】

CASE:07 解体作業で大騒ぎ。 ページ9

("10分"かぁ…。フェイクが多いか…先輩が本気出して、作りが複雑か…私の解体速度を遅く見積もってるかの、どれかよね…きっと。)

ドライバーで爆弾の蓋を外しつつ、設定の制限時間から考えられる構造のパターンを頭に思い浮かべる。

(水銀レバーに見立てた仕掛けもない…よかった。パッと見は複雑じゃなさそう。)

構造が複雑すぎないことに安堵しつつも、私は目を忙しなく動かした。

A「まずは観光起爆装置から取り除いて、そしたらここのカバーを外して…光電管のコードを切る…。」

――次に、液晶パネルを外して…その下にあるコードを切る。

私は時折"声出し確認"をしながら、ニッパーやパンチでレプリカ内部のコード類を確信を切断していく。

宮本「Aちゃん、今日は移動しないで食べてたんだ。何して…こ、これって！」

三池「宮本先輩どうしたんですか！？急に大きな声聞こえてきましたけど。」

A「苗子ちゃん、大丈夫…何でもないよ。…宮本先輩、安心して下さい。"これ"、偽物(レプリカ)なので。時間がきて、全コード切れてなかったら…私が低周波の犠牲になるだけです。とりあえず集中してるので、説明はあとで。」

苗子ちゃんの方が警官歴は長いので“先輩呼び”したら、慄(おのの)かれたので、“苗子ちゃん”に落ち着いた。

(開始から2分30秒…あと30秒で全解体(バラシ)は厳しいか…。やっぱり松田先輩はすごいんだね、お兄ちゃん。)

"パチン"…

"パチン"…

(おっと…。危ない、これフェイクだ…。)

フェイクコードを切らないようには気をつけつつ、私はできる限りスピーディーにレプリカの解体作業を進めていき、そして――。

"パチン"。

最後のコードを切り、少し大きく息を吐いた。

A「ふぅー。解体完了…です、萩原先輩。」

同僚A「うぉぉぉ！すげー、A！お前、解体作業とかできんだー！」

同僚B「どうりで執行課(うち)の機械類も難なく直せたわけだ。Aさん。」

萩原「俺が作った、"これ"を４分半で解体(バラ)すとは…恐れ入ったぜ！Aちゃん。5,6分の計算でいたよ。お見事！…こりゃぁ、“アイツ”とも張り合えるんじゃね？」

同僚B「えっ、この偽物(レプリカ)、萩原隊員が作ったんですか！？…なら、なおさらすごくね、A。だって、“爆発物処理班のエース”から認められるんだ。…えっ、“アイツ”とも張り合える？…誰のことです？」

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