不機嫌な理由 ページ20
エバーグリーン side
「あの子達、無事かしらね〜」
机にもたれかかり、ラクサスを横目にそんな事を呟いてみる。
「……知るか」
いつも無表情だけどA達がこの街を出てからは無表情…ってより不機嫌な顔ばかり。
ずっと眉間に皺を寄せて、近づくなオーラを纏っている。おかげで新人の子達が怯えて出て行く始末。
全くどうしたもんかね……。
ラクサスが不機嫌な理由は
一応、分かるんだけど。
「そんなに気になるんだったら会いに行ったらどう?」
カウンターの奥でグラスを拭いているミラが笑顔でそう言ってきた。
「…何の話だ」
「またまたとぼけちゃって。Aと喧嘩したんでしょ?」
「勝手にアイツが怒って出て行っただけの話だ」
ラクサスはグラスいっぱいに注がれたお酒を一口で飲み干すと、頬杖をついた。
Aとラクサスの喧嘩。珍しいことでは無い、むしろ日常茶飯事だ。だが、今回はいつもとは少し違う。
私が聞いた話はこうだ。
━━━━━━━━━━━
━━━━
『はぁ?100年クエストだと?』
ラクサスがギルドの依頼でしばらく家を空けていた時。一緒に住んでいるAがラクサスが帰ってくるや否やそんな事を言い出したと言う。
『ん、明日には出るから』
淡々と荷物の準備をしているAの手を掴んで
『おい待てよ。正気かお前』
ラクサスはそう告げた。
『当たり前正気だよ』
Aは自分の手を掴むラクサスを真っ直ぐ見てそう答えた。
ラクサスも一瞬でその意志が本物だと分かった。
72人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チュロス | 作成日時:2020年4月29日 14時