獄都商人 (ページ8)

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ななページ8

先程はああ言ったものの、当然探すあてなどない。彼の好きな物の店など、もう他の獄卒が探しに行っただろうし、なんなら、この近所については、それが全て当てはまる。

｢どうしようか…。｣

しかし、何もしないよりかはましだろうと思い、とりあえず近所の店に入ってみる。ここの店主は私とも斬島とも顔見知りであり、常連にも何人か知り合いはいる。聞き込みはしやすいだろう。

｢あれ、代々木じゃん｣

不意に後ろから声がした。

｢久しぶりー！ここに来たってことは、代々木も団子の美味しさに目覚めたのかな？｣
｢団子少年！久しいな。…また、相変わらずの量だな…｣

そこにいたのは、私が団子少年と呼ぶ少年だった。以前、私が面白半分で買ってきた団子関連のお土産が偶然居合わせた彼に驚く程受けて、それ以来良好な関係を築いている。
普段から、その細い身体に似合わないほどの量の団子をぺろりとその身に収めてしまうことから、私は畏敬の念をもってして彼のことを｢団子少年｣と呼んでいる。
まあ、彼は…。

…。

…。

やめよう。私は面倒事に関わりたくないし、関われるような能力はとうの昔に失ってしまった。私に今、できることをしなければ。

｢なあ団子少年。ここに、青い目の男性の獄卒…斬島さんが来ていないか？私はその人を探しているんだ。｣
｢んー？青い目のお兄さんねぇ…見てないかなぁ…。さっき大勢来たけど、青い目は1人もいなかったな｣
｢そうか、ありがとう。｣

大勢と言うのは、斬島を探しに来た獄卒達か。もう、ここは捜索が終わっていたようだ。

｢時間を取ってしまって済まないな。何かあったら、教えてくれると助かる。｣
｢わかった。頑張ってね。｣

そういって、私は店を出る。

｢…空振りか。長くなりそうだな。｣

誰にも聞こえないように、そう小さくつぶやきながら。

因みに、｢団子少年｣はかりそめの蘇生様より｢朔夜｣くんです