獄都商人 (ページ22)

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にじゅういちページ22

｢…はー、ねむ。｣

思わず食堂でそう零すと、マイエンジェルあやこは心配そうな顔で｢大丈夫ですか？｣と言ってくれた。

｢ああ、いや、大丈夫、大丈夫ですよあやちゃん。ちょっと眠かっただけなので。｣

あの、獄都に来た初日から働かされた忌まわしき一日から、結構経った。

あの時、斬島達が私を置いていったのは、何かしらの意図があったことではないらしい。後でめちゃくちゃ謝られた。獄卒の仕事に巻き込んですまないとも言ってくれた。
ついでに、服も新しく買ってくれた。彼らは律儀で優しいのである。

正直、あの時ボロボロだった斬島と比べたら大した傷を負っていなかった私が置いていかれたことより、斬島が包帯も絆創膏も付けずに仕事を継続したことの方が心配だったりする。

…怒ってなんかない！

まあ、とりあえず、大人な私は少々刃こぼれの目立つカナキリを(無理矢理)借り受け、(手数料を取って)いつも彼が刀を直してもらうという刀鍛冶に、修理を依頼していた。

なのだが。

早い！めちゃくちゃ早い！なんでこんなに早いのか分からないが、修理が早すぎるだろう！？

私が以前刀を修理する者を見た時には、刃こぼれの修理だけで2,3ヶ月かかると言っていた筈だが、獄卒という職業柄、あまり時間をかけてはいられないそうで、とんでもなく修理が早い、しかも全く手も抜いていないという業者を肋角さん自ら探し出したそうだ。

…刀鍛冶も凄いが、肋角さんもすげー…

因みに、方法までは企業秘密だといって教えてくれなかった。当たり前だ。

取り敢えず、斬島に、受け取ってきた刀を今日渡さねばならない。この刀は彼の最も大事なもののひとつで、引き離されるのを彼は非常に嫌う。出来るだけ早く返したい。

と、いうわけで、私は今、食堂で斬島を待っているところなのだ。

そういえば、この間、キムツジヤなる店の団子饅頭という商品を買ってきた。キムツジヤは団子少年お気に入りの店ということで、日頃中食を作ってもらったり昼食を奢ってもらったりした礼として贈りたいと思っている。

因みに、テレビの前の皆さんは団子饅頭などという奇々怪々な食べ物に手を出す勇気はあるだろうか。

私には……無い。