018 ページ18
少し長風呂してしまった。
洗面所に置かれていた
バスタオルやドライヤーをお借りする。
いろいろ済ませて洗面所を出ると
祐希くんはまだソファーに座ってテレビを見ていた。
「お風呂ありがとう」
声をかけると祐希くんは
一瞬こちらを見てまたテレビに視線を戻した。
「どういたしまして」
テレビの画面にはバレーの試合の映像が流れていた。
私もなんとなく横に座る。
「Aちゃんは、バレー好き?」
バレーのことだとわかっていても
"好き”という言葉に反応してしまうのは
きっとこの部屋に二人きりだからだろう。
「うん。好き。
中二まではやってたから」
「え、マジ?」
祐希くんが驚いた顔で振り向く。
「まじ」
「てか、なんで中二まで?」
この流れは言わない方が不自然だろう。
それにきっと祐希くんは言いふらすような人ではなさそう。
「中二からモデルの仕事始めたの。
だから部活もやめちゃって
怪我しちゃいけないからって
体育もできなくなっちゃった」
「なるほど
どうりでどっかで見たことあると思った」
そうつぶやくと彼はまた視線をテレビに戻した。
見たことある。
そう言われたのが純粋にうれしかった。
こんな異国の地でも私のことを知ってくれている人がいた。
それ以上に
わざとらしく興味なさげに
仕事のことを深く聞いてこない彼の態度に安心した。
368人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Haruka. | 作成日時:2019年11月10日 20時