欲しいもの ページ40
JK
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「グガ! ちゃんと休憩しろよ、」
「はい、あと少しだけ」
パフォーマンスの準備をしている時の方が思考がまとまるような気がする。今日は外に出るような仕事はなくて、話し合いや練習が中心だった。
スタッフさんの中にAヌナはいない。それは当たり前のことだし、ヌナには休んで欲しかったからそれでいいのだけれど。
昨日の出来事を思い出すと胸が苦しくなる。
ヌナがあまりにもかわいくて、綺麗にグラデーションにできた唇は甘いフルーツ飴のようで、美味しそうだなと思っていたらキスをしていた。
重なった唇がふんにゃりと柔らかくて、「あ、飴じゃなくてヌナの唇だ」なんて馬鹿みたいに思った。
なんでキスをしたのか、ヌナが可愛かったから。これは間違い無いのだが、自分がそんなにも軽い男だったのかと疑問に思う。
ヌナじゃなくてもキスしたか? 答えはノーだ。
──今日はかわいくしてくれてありがとう
そう言ったヌナがいつもどおりの優しさと、ほんの少しの切なさを含んだ笑みを浮かべるから。
正直いうとあのまま抱きしめてもう一度キスをしたかった。ヌナを、僕のものにしてしまいたくて。
…………え?
「…………僕の、ものに」
ダンスを途中で止めてしまって、少し遅れて靴が擦れた音が耳に届いた。肩で息をする。荒い呼吸音に混じって、うるさい心臓の鼓動が脳に響いた。
「っえ、」
ダンスをしていたからじゃ無い、そうでは無い熱が一気にこみ上げてきて、その場にしゃがみ込む。
心臓がうるさすぎる。破裂して飛び散ってしまうんじゃ無いかってくらい、激しく波打っている。
「ジョングギ顔真っ赤だぞ! 熱中症か? ほら水、」
「ジミニヒョン、」
「うん? あ、塩も欲しい?」
「僕、ヌナが欲しい」
ちゃぷんと水が揺れた。ぼとんっとペットボトルが落ちて床に転がって、ヒョンがぽっかりと口を開けた。
他のヒョンたちも何事だと視線をこちらに向けて、練習室の中が静かになった。
「僕、Aヌナのこと好きになってたみたいです……」
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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時