私のヘアメイクさん【JK】

その会話、一体何？ ページ41

憂鬱だな、と朝起きてまず大きくため息をついて起き上がると、テーブルの上に置いていた金のピンが目に入る。

ジョングクが私のために選んでくれたもの。きゅーっとときめいてしまって、口元が緩む。

これをつけていったら引くだろうか。いや、逆につけないとジョングクのことを気にしているのが分かるだろうか。

恋愛初心者すぎて、どうすればいいのかわからない。
それでも仕事はいかなければいけないし、ジョングクにも会わなければいけない。


「よし、」


腹を括って仕事に行こう。
鍵を持って家を出て、仕事場に向かった。今日は走れ防弾の撮影だ。撮り溜めしないといけない。

楽屋のドアを開けて「おはようございます」と覇気のない声で言って顔を上げると。

「おはよー」
「ホソク。早いね」

すっかり目が覚めたような顔のホソクがいた。テーブルに荷物を置いていると、髪を持ち上げられた。一つに結んでいて、そして、横にピンをさしてきた。


「なんか適当にいじっていい？」
「うん、いいよ。私準備してるけど気にせずやって」


今日初めて会うメンバーがホソクでよかった。変に緊張しないですむ。

するっとゴムが取られたのを感じて、けれども気にせずに備品の整理をする。

そんな中扉が開いた音がして、顔を上げずに「おはようございます」と言っていると、髪に触れていたホソクの手が止まった。


「ホソクヒョン、ヌナのヘアメイクは僕だから触っちゃダメです」


そして私の手も止まる。
ドッと急に早まる心臓。汗も出てきた。
ジョングクだ。ジョングクがいる。

「ジョングクおはよう」
「おはようございます。……あ、ヌナ、そのピン……」

ホソクが外して置いているのを見て、顔を綻ばせる。そんな嬉しそうな顔をされると思ってなくて、不意をつかれてきゅんとした。

「か、可愛かったから、」
「ふふ、嬉しいです」

いつのまにかホソクとポジションチェンジしていて驚いた。今私の髪に触れているのはジョングクだ。
なんだかすごいことになってしまった。


「ジョングガ、ほんとお前独占欲すごいのな」
「はい。Aヌナに触っていいのは僕だけなんですよ」


背後で繰り広げられる会話はダイレクトに聞こえるのだが、いろいろつっこみたいところが多すぎる。特にジョングク。

私たち一昨日変な空気になったよね。キスしちゃってどうしようみたいになったよね。


……それともジョングクにとって私はそんな意識するような相手じゃないってこと、なのかな。

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