感情を放り捨てて ページ23
アイドルとヘアメイクの関係は本当に大事だ。信頼関係があってこそだし、アイドルの職業柄ヘアメイクに媚びられることも嫌がるだろう。
「あれ? オンニその髪……」
「ああ、ジョングクがしてくれたの」
「最近仲良しですね」
一つ下のヘナちゃんにそう声を掛けられて、なんとなく気まずくなった。仲が良すぎると思われているかもしれない。しかもヘナちゃんはarmyだ。
本人も言っているしメンバーも知った上で、本当に信頼関係で仕事が成り立っている。
いい気はしないだろう。この子はいい子だから、そんな素振り見せないだろうけれど。
「私、距離感を大事にしたいの。この仕事って信頼関係あってこそでしょう?」
「え? はい、そうですね」
「……不自然じゃない程度に、ジョングクの担当が回ってきたら数回任せてもいい?」
「いい、ですけど……。それ、私に気を遣ってるとかじゃないですよね?」
「そんな失礼なことするつもりない。ダメなら自分の問題だしなんとかする」
頭を下げると、ヘナちゃんは慌てて「大丈夫です」と私に顔を上げるよう促してくれた。顔を上げると、彼女の可愛らしい目元が少しだけ鋭くなる。今まで見たことない彼女だった。
「でも私は、職場恋愛が悪いとは思わないタイプです」
「……うん、わかってる」
「……オンニも、もっと楽に生きてもいいんじゃないですか?」
そう言われるときついものがある。真面目だからと褒められることもあれば、予定が崩れて慌ててしまうこともある。
自分の性格がどんなものかある程度わかっていても、根っからのものは変えようとしても変えられないのだ。
この性格が良いのか悪いのかわからない。けれど、この先も私はこれと上手く付き合っていくのだろう。
「わかってるよ、」
存在したかもしれない幸せを、わたしはいくつか落としてきたのだろうか。始まりもしないこの恋愛を勝手に終わらしてしまう。
もう25歳だ。なににも保守的になってしまうのは仕方ないのかもしれない。
「Aヌナ、後ろ姿の写真見てください!」
「わ、本当に上手になったね」
「ふふ、相手がヌナだから練習もたくさんしたんですよ」
ジョングクへ抱き始めた特別な感情を抑えつけようと決めたからだろうか。皮肉にも、ああ好きだな、とすんなり彼の顔を見て思ってしまった。
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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時