沼は深い ページ22
夢にジョングクが出てきて、げっそりして出勤してしまった。
好きになってはいけない、というよりも、好きになりたくないというほうが正しいかもしれない。
好きになっても叶わない、伝えても関係がギクシャクするだけ。八方塞がりでしんどくなるだけだろうから。
「ヌナ」
「ひぃ! びっくりした、ジョングクか……」
「はい。編み込みでおだんごさせてください」
ざっとくしとゴムとピンを出したジョングクの勢いに後ずさりした。前から手が伸びて、後ろで一つくくりしている私の髪を解く。
そのときにふわっと香ってきた柔軟剤の香りに胸が高鳴る。いや、柔軟剤の匂いだけでドキッとするなんて私惚れ症か? ううん違うくてジョングクだからちょっとドキッとして……それもアウトだってば。
「じゃあ後ろ回りますね」
「うっ、あ、うん、」
だめだ1度のキュンを引きずりすぎて断ることができなかった。
首元に手が触れたり、耳に爪先が掠るだけでビクビクしてしまって、そのたびにジョングクも「ひっかいちゃってませんか?」と気を回して声をかけたりしてくれる。
メンバーたちはまだ来ないのか。なぜ普段起きられないジョングクが早く……このためか。
「おはようございます……うん? ジョングギやけに早起きしてたと思ったらこれだったのか〜」
これまた寝癖をふわふわさせながらホソクとナムジュンが顔を出し、少し遅れてみんな揃った。テヒョンは目が開いていない。
「なにすんの?」
「編み込みしておだんごにするんです」
「へえ、Aのお団子イメージないな」
「うーん、そうだね、あんまりしないかも」
後毛もおぼえたジョングクのおかげで、顔の横で1束髪が揺れて、ホソクがくるりと指に巻いた。
「絶対かわいいと思う」
に、と微笑まれた。ホソクは本当にいい旦那さんになりそうだ。
「へへ、そうかな」
「ヒョン、ヌナの担当は僕です!」
「え、お前がヘアメイクなの? いいじゃん」
「はい、だから、」
横に手が伸びて、そばにあったホソクの手をやんわりととった。ジョングクの顔は普通なら見えない状態なのに、前に鏡があるため見ることができる。
「触っちゃだめです」
ここで拗ねた顔をしていたらかわいいの一言で済んだかもしれない。それなのにジョングクはそういう顔ではなくて。
浅く笑って、目をそっとホソクに向けたのだった。そのあとに鏡越しに目があってしまって、この感情から逃げられる気がしなくなった。
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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時