隙をつかれた ページ24
彼らの輝きはダイヤモンドのようだと思えば、春の太陽のように穏やかな時もある。どの表現も当てはまるけど、どの表現も的を射ない。
不思議だけれどきっと共感されると思う。そのくらい魅力的なのだ。
「ジンさん、襟足伸びてきましたね」
「そう。ここまで長いの初めてかも」
「すごくハンサムです。美術品みたい」
彼の前髪を上げながらそういうと、そうだろうそうだろうと饒舌になったが、耳が赤いことに気がついていてしまった。
いざ真正面からかっこいいと言うとこの人は照れる。しかもそれを誤魔化そうとするのだからかわいい人だ。
言うとさらにごまかしそうだからヘアセットの手を進めていると、通りがかったナムジュンが足を止めて「お」とこぼした。
「ジンヒョン耳赤いですよ」
「……しってるよ! Aは褒め方がストレートすぎて変に照れるの!」
「私ジンさんが照れてるのに気付いてて言わなかったのに」
「あ、そうなのか。ごめん。ヒョンも、なんかすみません」
「謝るなよ余計恥ずかしい!」
さらに赤くなった耳を見て笑っていながらさっと仕上げてしまって、ナムジュンを座らせた。ぷりぷり頬を膨らませるジンさんに「末っ子みたい」とユンギさんは呟いた。
ナムジュンの化粧崩れをチェックして、そんなに崩れていなかったからリップだけ塗り直す。
分厚い本を取り出して、そこにズラっと並んだ英語を見てくらくらした。呪文かよ。
「Aヌナ」
「うんー? あ、ナムジュンごめんはみ出た」
「ん? うん、」
「今日はもう僕のヘアメイクしないですか?」
ナムジュンの口の端のリップをとんとんと拭ってなんとか平静を保つ。びっくりした。突然話しかけるから。
「うん、ないかな」
「じゃあヌナ、僕がヌナのヘアメイクをする時間はありますか?」
「それ、は、どうだろう」
しまったどもってしまった。
誤魔化すように立ち上がると、とん、と顎のあたりに手が当たった。グクの手だ。手にはリップを持っている。
まるで私たちが彼らにするように、私のことなどお構いなしにリップを唇にそわせた。あまりに予想外のことで、体が固まってしまう。
「なくてもこうしてリップくらいは塗りますね」
してやったりというように笑みを浮かべるジョングクに、先程のジンさんよりも耳を真っ赤にしてしまったと思う。
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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時