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リアル*6 ページ8

これはゲームなんだ。
ただの遊びなんだ。
死ぬこともねぇし、痛みだって感じねぇ。

でも、やらないとやられる。

あいつを助けろ!!!動けよ!!!!!

そう思った瞬間、身体が動いた。


「っらぁ!!!!」


ゾンビの顔めがけて、後ろから蹴りをいれた。
メキメキ…と、ゾンビの顔に足がめり込むのがわかった。
同時に骨がきしむ音が気持ちが悪かったが、勢いを殺さずに足を振り切った。

力なく地面に叩きつけれたゾンビに跨がれば、
意識なんてなにもせずに本能のまま…
そのゾンビの額にナイフを突き刺した。

ピシャと顔に生暖かく赤いものが飛んできた。
ズルッとナイフを抜けば、ゾンビはそのまま動かなかった。


「ハァ……ハァ……。」


…俺らしくもねぇ。
ナイフを持っていた震える手を、ジッと見つめた。


「笠松…先輩……。」


顔をあげれば、彼女が心配そうに俺に手をさしのべていた。


「…大丈夫。お前は?」


彼女の差し伸べた手を握れば、震えていた。
ソッと握って立ち上がって頬の血を拭いながらそう尋ねれば、コクンと彼女が小さく頷いた。

きっと、まだ気持ちが落ち着いていないんだ。


「そうか…。でも、これでなんとなく分かったな。体術。」

「…意志で、本当に動くんですね…。身体が軽かったです…。」

「俺もだ。想像以上だったな…ちゃんと体力ゲージも減ってるみたいだしな。」


そう言ってゲージを見たとき、丁度満タンになっていた。
彼女の震えも少し落ち着いたように見えた。


「…落ち着いたか?」

「…はい。ありがとうございます。」


彼女が顔を上げて、微笑んだ。
そして、すぐに俺の足下にいたゾンビの鞄を取り、中をあさった。
すぐに行動できるのが、彼女のいいところだった。


「…あ、ありました!」


彼女が取り出したのは、観光案内の地図だ。
予想通り、この男は観光客らしい。


「警察署は?……ここか。少し距離があるな…。」


彼女の地図を後ろからのぞき込むようにしてみれば、警察署は割と遠くにあった。
この商店街を抜けて、裏通りを通り過ぎ、さらに道なりにすすむ。


「…でも、近道もあるみたいです。…多分、そこの酒場の裏から出れば…。」

「…鍵が開いてればいいな。…よし、行ってみるか。」


ショルダーバックを彼女から受け取り、肩にかければ酒場に向かった。

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作者名:ベイ | 作成日時:2017年3月28日 19時

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