リアル*3 ページ5
「なるほどな……痛みを感じないつーのは結構安心かもな……。」
「そうですね……。それに、体術って…
私、出来るような気がしないのですが…。」
「それは俺も同じだ。」
彼がそう苦笑して、再び読み直した。
説明書としては分かりやすかったけれど、
いくつか気がかりな点があった。
「……このゲーム…‥もしかしたら、プレイヤーは私達だけじゃないかもしれないです‥。」
「?そりゃあ、海常のメンバー…後4人はいるからな。」
「そうじゃなくて、本当に私達が知らないプレイヤーです。」
首を傾げ、笠松先輩が眉をひそめた。
確かに説明書にかいていないから分かりにくいかもしれないけれど、なんとなく察しがついた。
「6の休息ポイントについての説明をみてください。ここに、
“ゲーム内オリジナルクリーチャーが入ることはありません“って書いてます。なのにここは鍵をかけられるって...。これって、オリジナルクリーチャーでなければ…入ってくる可能性があるってことですよね?」
「……そうか…!…じゃあ、もし……俺達と同じプレイヤーだったら……。」
笠松先輩の視線と一緒に、その扉の方を見た。
ゾッとしたのが事実だった。
もし、自分と同じプレイヤーであって…敵だとしたら…鍵をかけなければ、袋の鼠だ。
「だから…敵についても俺たちを攻撃するものすべてって書いてあるんだな…。」
「気をつけなければいけませんね…。
ゾンビにばかり気を取られる訳にはいきません…。」
「そうだな…。それと、俺たちの目的はなんなんだろうな。街からの脱出とか…なのか…?」
「可能性としてはそれが一番高いかと。
始まった私たちの場所が明らかに崩壊した街の真ん中でしたし…
なにより、制服のままなんです。
最初の目的として、とりあえず街からの脱出にしましょう。」
「そうだな…。じゃあ、何か武器を探して、後はあいつらを見つけないとな。」
彼の言葉に頷けば、本を閉じてボックスにしまった。
「桐谷。これ、使えるか?」
「これって‥‥‥ナイフとスタンガン?」
彼がロッカーから取り出したのは、サバイバルナイフとスタンガン。
正直、使ったことがないから、あまり持ちたくはない。
「…とりあえず、気休めにでも持ってろ。
…スタンガンの方がいいか?」
「…じゃあ、スタンガンで…。」
「…怖かったら無理すんなよ。あと、離れんな。」
そういって、笠松先輩が扉を開けた。
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作者名:ベイ | 作成日時:2017年3月28日 19時